池田・横浜のユニークなアトラクション
同館の人気を高めているのは、これらクリエイティブ・シンキング(創造的思考)をかき立てる展示に加えて、来館者が体験できる2つのユニークなアトラクションだ。
「チキンラーメンファクトリー」は、なんと「チキンラーメン」を手作りできる体験工房である。予約が必要で、利用料は小学生300円(税込、以下同)、中学生以上が500円。小学生未満は利用できない。
ここではチキンラーメンを小麦粉から作ることができ、1日あたり約2.8億食、年間約1,036億食が消費されている世紀の大発明、インスタントラーメンがどのようにして作られているか、その過程を体験することができる。小麦粉をこね、伸ばし、蒸した後に味付けをし、「瞬間油熱乾燥法」で乾燥させる。
食育の面でも、非常に貴重な施設で、予約がなかなか取れないほどの人気である。
もう1つは、自分だけの「カップヌードル」の味を組み立てられる、「マイカップヌードルファクトリー」で、2004年に設置された。料金は1食300円(税込)。
テーブルでカップに、さまざまな色のマジックでお絵描き。世界でただ1つ、オリジナルのカップが完成したら、カウンターに持って行く。麺をセットし、スタッフに好みのスープを4種類(カップヌードル、シーフードヌードル、カップヌードルカレー、チリトマトヌードル)から1つ、好みの具材を12種類(ネギ、ブタ、エビ、ナルト、タマゴなど)から4つ選んで、トッピングをしてもらう。味の組み合わせは5,460通りにもなる。
スタッフに蓋を取り付けてもらい、ビニールに熱を加えてぴったりと包装。でき上がった自分だけのカップヌードルは、透明のビニール製エアパッケージに入れて、空気を入れて膨らませる。エアパッケージは肩から下げられるように紐が取り付けられ、お土産として手軽でおしゃれに持ち帰ることができるのだ。
顧客層は、子供連れのファミリー層が中心だが、学生の遠足や修学旅行も多い。近年は中高年層や外国人が団体客を含めて増えている。海外からのインバウンド客は2~3割を占め、香港、台湾、シンガポールなどといった中華系が主流。
2011年にオープンした「カップヌードルミュージアム 横浜」は、大学生以上の大人は500円の入館料が必要。高校生以下は無料である。総合プロデュースには、セブン-イレブンのセブンカフェやユニクロのロゴマークのデザインなどで知られる、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏を起用している。
横浜でも、大阪池田と同様な展示、「チキンラーメンファクトリー」や「マイカップヌードルファクトリー」のアトラクションが用意されている。
ただし、面積が3倍もあるので、それらに加えて、「カップヌードルパーク」という巨大な工場の中で、自分自身が「カップヌードル」の“麺”となり、製麺から出荷されるまでの生産工程を体感できるアスレチック施設がある。「クリエイティブシンキングボックス」という、現代芸術の手法を駆使し、アイデアの育て方やタテ・ヨコ・ナナメといろんな角度から物事をみることで、クリエイティブな発想を生み出す気づきをもたらす6つのボックスも用意されている。
また、「ヌードルズ バザール」という、アジアのナイトマーケットをイメージした空間で、世界の麺料理などを味わえる、フードアトラクションも用意されている。8つの屋台が設置され、パスタ(イタリア)、ラグマン(カザフスタン)、蘭州牛肉面(中国)、フォー(ベトナム)などのメニューは食文化に詳しい文化人類学者の国立民族学博物館元館長で名誉教授・石毛直道氏の監修を受けている。