キャパを超えた仕事量、厳しいノルマ等々、社会で生きてくにあたってはさまざまな苦労が伴うものです。「苦労の数だけ成長する」などという言葉もありますが、はたして本当なのでしょうか。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では現役弁護士の谷原誠さんが、社会における精神的ストレスが人間の成長におよぼす効果について解説しています。
苦労の数だけ成長するか?
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
「苦労の数だけ成長する」
この言葉は真実でしょうが、ある条件をクリアしないと、正しくない結果になるように思います。
ここでは、「苦労」を、「精神的、肉体的に力を尽くし、苦しい思いをすること」というような意味で考えます。
ある青年が、上司から、1週間ではとても完成できない仕事を命じられました。
「なんでいつも俺はこんな苦労ばかりするんだろう」
1週間、その青年は、通常どおり仕事をしました。そして、1週間後、その青年は、仕事を提出しました。
「すみません。頑張ったのですが、半分しかできませんでした」
この青年は、成長したでしょうか。
ここでちょっと筋トレを考えてみます。腕立て伏せが10回できる人が、毎日腕立て伏せを10回行うことにしました。初めのうちは、10回やるのに必死でした。そのうち、10回は楽にできるようになりました。少し筋肉がついた気がします。その後も、毎日10回ずつ腕立て伏せを続けました。しかし、それ以降、一向に筋肉は発達しませんでした。
これは、当然のことですね。筋肉は必要な量しかつきませんので、腕立て伏せを10回続ければ、腕立て伏せが10回できる筋肉以上には筋肉はつきません。つまり、筋肉にストレスがかかったときに、それに抵抗し、限界を超えていこうとしない限り、筋肉の成長はない、ということです。
精神力も同じだと思います。強い精神的ストレスがかかった時に、それから逃げていたら、いつまで経っても、そのストレスに抵抗できる強い精神力をつけることはできません。強い精神的ストレスがかかった時に、そのストレスに抵抗し、限界を超えていこうとする過程で精神力が成長するのだと思います。
したがって、「苦労の数だけ成長する」という公式が成立するためには、
- 精神的肉体的に苦しい思いをすること
に加え
- その障害を乗り越えようとする努力
が必要になるのだ、と思います。そう考えると、私たちが成長していくのは、やはり楽ではないのだな、と思う次第です。
今日は、ここまで。
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