NY在住日本人社長が渡った「世界一」の橋とマカオドルの特殊事情

 

翌日、気がつくと昼前まで爆睡していました。今回の出張、このあとは日本が入り、そして、ニューヨークに戻る前に、またアメリカ西海岸に戻ります。日付変更線だの、時差だの関係なく、地球儀をデタラメな方向に行ったり来たりするのは、予想以上に疲労します。太陽の動きに追走したり、時には逆走したり、を繰り返すのが人間の身体にいいわけがない。そして、なにより困るのが「自分がいつ眠いのか」わからなくなるということ。

いや、さすがに、自分が眠いのはわかります。そうではなくて、この眠気が、昼寝レベルのうたた寝の眠気なのか、あるいは、数時間欲している夜の本格的な眠気なのかが判断できない、ということ。「やべええ、ねむいい…朝まで爆睡してやろう」と思ってベッドに入るも、90分後に、やたらスッキリ目覚めだり(そこで昼寝レベルの眠気と起きて気がつく)「次の原稿までソファで仮眠とろう」とふと横になると6時間きっちり寝ちゃったり(そこで本格的な睡魔だったんだ!と気づく)それが長期出張のツライところではあります。

クライアントとのミーティング中に、ウトウトレベルじゃない、耐えられない睡魔が襲ってくることもあります。そんな時は、目の前の数百万、数千万の契約がたとえ流れちゃっても、このまんま、目の前で寝てやろうかなとすら思えてしまいます。時間帯に関係なく、いつ、自分が急激に眠くなるかわからないのは怖いものです。

クライアントの社長と、彼の香港人であるスタッフのひとりが、ホテルロビーまで迎えにきてくださいました。ランチミーティングをホテルのレストランで済ませます。で、そのまま車で5分ほどの彼らのオフィスへ。社員さんたちと名刺交換。日本人半分、香港人半分でした。そのあとは、自社製品を作っている彼らの工場へ。そこで、今回の香港出張の仕事は終了です。ただ、地球の裏からわざわざ来たということが重要。残り2日間は、お客さんとプライベートでも仲良くなるための時間です。

その方は在香港14年目の日本人の50代。僕以上に世界中を飛び回っています。僕と決定的に違うのはすでに彼が「成功者」の部類に入るということ。やはり、創業者で、一代で、ビジネスで、成功した男の話は面白い。観念論でなく、あくまで実践的で、これまでのビジネスの経緯を聞くと、冒険譚さながらワクワクさせられます。何度も地獄をくぐり抜けて成功した男は、一律、みなさん、まず、やさしい。決して偉ぶらない。魅力的です。

出張が多いその社長は、話の中で、当然のことながら「中国本土」と「香港」を分けて話します。で、「本土」から帰ってきて「香港」に到着すると、やはりホッとするのだとか。多くの香港在住者がそうであるように、やはり彼も、「北京」や「上海」であっても、中国を「外国」と見なしていることがわかります。アメリカで他の州からニューヨークに戻ってきたら、確かに僕もホッとするけど、だからってさすがに「外国」から戻ってきたという感覚にはならない。つまり、ニューヨークはやっぱり、アメリカで、香港は、それでも中国ではない、ということなのかもしれません。

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