NY在住日本人社長が渡った「世界一」の橋とマカオドルの特殊事情

 

庶民の僕が世界有数の大金持ちの彼らと対等に戦うにはせめて気持ちだけでは勝たないと、と鼓舞します。一体なにやってんだ、とささやくもう一人の自分を無視して。そこから明け方まで社長とふたりでバカラをやり続け…、途中、自分でも引くほど勝ちました。

でも、基本、カジノの勝ちはカジノでペイすると決めています。こんなところで運を使ってる場合じゃない。それに横に負け込んでいる社長がいるのに、自分だけ勝ち逃げはできない。せめて勝った分だけくらいは、使い切ろうと賭け続けます。

一旦、思考がそうなると、面白いもので、やっぱり順調に負けていく。ま、プラマイゼロでいいや、そんな気持ちでベットし続けると、あれ、気づいたら、負け込んでいく。ゼロでいいやと思いつつ、結構、負けが込んできた。庶民の僕にとっては冷静ではいられない負け額。

でも、カジノって不思議です。さっきまで大勝ちしてたから、このまま賭け続ければ、また時がくれば勝つだろうと根拠なく思い込んでいる自分がいる。危険だ。そうこうしているうち、負けの額が膨らんでいく。ここから逆転だ!と気合を入れたその時…きたよ。例の予想不可の睡魔。まさか、ここで?

ニューヨークからラスベガス。ラスベガスから香港。日付変更線も時差もぐちゃぐちゃの身体に、抵抗できないほどの睡魔。少々眠いくらいなら我慢します。でも、我慢できるレベルじゃない。すいません、ちょっと部屋で仮眠とってきます。そう言う僕の声も、横にいる、負けを取り返そうとしている社長の耳にはほとんど入っていませんでした。

部屋で仮眠をとって、再勝負!と思っていたところ。ベッドに倒れ、一瞬、目を閉じます。で、次の瞬間、目を開けると。あれ?さっきまで、朝の日差しが入り込んでいた部屋が一瞬で真っ暗。目を閉じて、目を開けたら、朝が夜に。したままの腕時計を見ると8時間経過。うそおん。8時間が体感2秒。

でも、まだ明日の朝出発のシャトルバスまで時間はあります。まだ取り返せる!そう思いつつケータイを見ると、着信履歴が15を超えています。ニューヨークの編集部から、「今日中に仕上げて欲しい原稿」が4本の指示。

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仕事してる場合じゃねんだよ!そう返信しそうになるのを必死でこらえ、マカオカジノのホテルでノートパソコンを開いて、執筆活動。…この原稿で一体、いくら入るってんだよ…、そんなむちゃくちゃなことを考えながら。

原稿4本書き終わった頃には、心も折れかけ、ギャンブルマインドも下がっていました。結構な負けだけど、でも、まぁ、仕方ないか。社長の負けは横で見ても、目が飛び出る額だったし、それに比べれば、と自分に言い聞かせ、帰りのシャトルバスに乗ります。

社長に、ビビりながら、「結局、いくら負けたんですか?」と機嫌を損ねないように、おそるおそる聞いてみます。目の下にクマを作った社長は、何事もなかったように「あぁ、、結局、高橋君が部屋に戻ったあとくらいから勝ち出して…200万円くらいかな、勝っちゃったよ」とだけサラッと言って、そのまま座席に埋もれて寝てしまいました。

…………やっぱ、成功者ってこういうことになっちゃんだよなぁ……橋の下の穏やかな海を見ながら、脱力するのでした。

次は母国、NIPPON!だ!

新刊のお知らせ

アマゾン、先行発売中! 11月11日、全国の書店に並びます!1冊目の発売日が決定しました。 本日、出版社との最後の表紙案の打ち合わせを終え。最初にお話を頂いてから2年半ー、書きつくせないほどの色々な経緯から、この度、無事発売が決定しました。タイトル「 武器は走りながら拾え!」ブックマン社より、1400円。

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まったくのゼロから、ニューヨークで新聞社を創った経緯、と半生記。 で、生意気ながら、今の日本の若い世代に話したいことを書き綴っています。今の時点で、すべてを出し切った作品です。

image by: NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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