配慮?フレンドリー?NY日本人社長が感じた日本人の奇妙な距離感

 

改めて日本人の細かさに驚く

今回の帰国出張の最大の目的は、11月11日に出版の運びとなった処女作の出版記念イベント、もしくはその販売活動です。 移動も多く、身体的には大変でも、やはり自分にとっては楽しく特別な日々でした。
11日当日、九段下にある出版社に打ち合わせに行きます。 その前の週に、スカイプミーティングで、実物の書籍を見せてはもらっていたけれど、すでに刷り上がっている実物をこの時、初めて生で見ることになります。

訪問直前に、隣のコンビニで差し入れのアイスコーヒーを買った時のことでした。「776円です」とレジの40代くらいの女性。 手元には千円札と小銭が数枚。 自分の手のひらの小銭の中に6円を探すも、5円玉も1円玉もなかったので千円札だけを渡そうとします。 すると僕の手のひらの小銭を確認したその女性は、「じゃあ、30円も貰いますね」と10円玉3枚取っていく…。

え?どうゆうこと?すぐには計算できない。日頃1ドルのコーヒーでもクレジットカードを使用する生活をしている僕は、頭の悪さも手伝い、日本のコンビニなどでの「お釣りを少しでも軽くする」端数の暗算が日本の人より苦手です。

さすがに端数の6円くらいは探したけれど、5円玉も1円玉も手元にないと分かると、千円札だけを出す。それしか他に方法はないはず。でも、今、目の前の彼女は、なぜか10円玉を3枚持っていった。すぐには理由は分かりません。おそらく日本の暗算のプロ(コンビニ店員)がやってくれたことだから、結果、手元に戻ってくるお釣りはキッチリ、キレイに半端のない金額になっているのだろう…と思っていたところ。
「はい、254円のお返しでーす」とお釣りをくれました。
???

軽く会釈をしてコンビニを出た僕は必死で笑いを噛み殺していました。一体、なんだったんだ、と。結局、端数じゃん、と。出版社に行くと、編集スタッフのみなさんが笑顔と拍手で迎え入れてくれました。 「おめでとー!」と僕に僕の処女作を手渡してくれます。 長年夢に見た自分の本。 この2年半、すべてをかけて書き上げたデビュー作…

どう?感想は?担当の女性に言われた僕は照れ隠しで、「それよりさ、今、横のコンビニで不思議なことがあって…」と前述した一連の流れを説明しました。 小銭の端数を極端に嫌う日本人の習性から、手のひらの30円を取られた。でも、返ってきたお釣りはこれまた端数だった。端数の金額を明るい笑顔で渡された。 一体、あれはなんだったんだろう、と。

すると、そこにいた編集部の人たち全員が当たり前のように「だって、お釣りの小銭、数を減らしてくれているじゃん」と言ってきます。
?? え?どーゆー意味?
「そのレジのおばさんは間違えてないよ。30円取ってお釣りに50円玉を入れることによって、お釣りの数自体を減らしてくれているじゃん」

…よく分からない。もう一回よくよく考えてみる。30円を取られなければお釣りは224円。30円を彼女がもらってくれたことにより、お釣りは254円。確かに、2枚の10円玉が1枚の50円玉に変わっている。コインの絶対数を確かに減らしてくれている。 1枚だけ。

「…あー!!」と気づき、感動した僕に日本の方々みなさん、当然でしょの顔。 何をそんなに驚いてるの?って感じです。2枚の10円玉を1の50円玉にしてくれた…すごいなニッポン。どこまで行く気だ。

「…なんか…逆にしんどいわ日本!いらんわ、そんな配慮!」そう叫ぶ僕に、それよりさらに大きな声で「…そんなことより、初めて自分の本を手に取った感想は!!??」とキレるうちの担当。

サインをしました。 最初の第1号は担当してくれたその彼女に。さらさら~と書く僕に「え、もうサイン決めてたの?」と半笑いでそこにいる編集部のスタッフにツッコまれます。へ?と逆に驚く僕。

在米の日本人はみんなサインを持っています。 クレジッドカードだけでなく、この国では直筆のサインをする機会が日本の方が思っている以上に多い。印鑑の文化がないので、必要書類はすべて直筆のサインです。全員、自分のサインを持っています。この国では朝昼晩の外食もすべてクレジットカード。スターバックスもカードです。その都度サインをします。特に経営者である僕はそれ以外でもサインをする機会が非常に多く、クライアントとの契約書、社員の労働ビザの書類、取引先業者との取り決め書類。毎日するサインに日本語の漢字で毎回シッカリ書いていられない。この国ではみんな持っています。自分のサイン。

それを当たり前のように書いたら、まるで「タレントさん気取り」のような目で見られた(笑)気をつけなきゃなと思いました。

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