配慮?フレンドリー?NY日本人社長が感じた日本人の奇妙な距離感

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処女作がAmazonビジネス部門第1位を記録し、変わらず前進し続ける、マンハッタン在住高橋克明さん。今回、出版記念会のために緊急帰国した際に、さまざまなカルチャーショックを日本で受けたそうです。特に驚いたのが、配慮や人間の距離感についての期待値について、日米間でずいぶんと差があると気づかされたといいます。そのことについて、自身のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の中で詳しく語ってくれています。 

秋の日本出張

9月の最終日から2ヶ月間、北米、中国、日本の各地を移動し続け、1週間と同じ場所にいない出張が続き、本人自覚なくとも身体は悲鳴をあげていたみたいで、後半、とうとう舌痛症という聞いたこともない病気になっっちゃいました(汗)。過労とストレスが続くと、身体のどこかしらが壊れるみたいで、僕の場合は舌がヤラレタ。

極端にスパイスの効いたカレーを食べた直後のように、舌がヒリヒリとし始め、何を食べてもまったく味がしなくなりました。そのあと、とうとう喋りづらくなりました。どうやっても、舌ったらずのバカのアイドルのような話し方しかできなくなりました。 何ヶ月も前から決定していた、東京は八重洲ブックセンターの出版記念トークショーの当日朝。 あまりに舌ったらずな喋り方に自分でも焦りまくりました。どうしよう…と。

午後になり、なんとか普通に、とはまで言わずとも、トークそれ自体に支障が出ないくらいには舌は回復してきました。にもかかわらず、トークショーの打ち合わせ時、MCを務めてくれる今回の書籍編集担当が「どうしよう」と手で口を抑え、晴れたほっぺたを見せながら「さっき歯医者で麻酔打ってもらったら喋れなくなっちゃった」と言ってきた時は、ビンタしてやろうかと思いました。

何を言ってるかわからない舌ったらずのメインスピーカーと、口を抑えてモゴモゴしゃべってるMCのトークショーを誰が聞きたいんだよ、と。何年も前から八重洲ブックセンターで出版記念のイベントをするのが夢だった僕にしてみれば「なんで当日、歯医者行くんだよ!」な気持ちです。そう言ってる僕のセリフもバカの舌ったらずな発音です。

夜の7時からのスタート。その頃にはふたりともなんとか回復。おかげさまで大成功に終わりました。

2ヶ月の長期出張のちょうど真ん中あたり、1週間ほどニューヨークに戻ってきました。その際、ベッドに潜り込んできた4歳の娘が、僕の胸に顔を埋め「パパ、どこ行ってたのー」と。「もうどこにも行ったらダメだからねー」、そう続けられた時点で3日後にはまた1ヶ月間ニューヨークを離れることが決定していました。 胸が締め付けられる思いでした。 出張先では毎晩ケータイ越しのスカイプで話していた4歳の息子が「あれ?パパ、きょうは、でんわじゃないの?」と実物の僕をみて驚いた顔をするアホさ加減にも、胸が締め付けられました。

時差よりも、地球を半周する移動距離よりも、名刺が400枚なくなった忙しさよりも、ふたりと離れること自体がいちばんキツイ、そんな2019年の秋から初冬でした。

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