顧客ニーズを探る
さて、それはともかく安永氏はさらに「合同墓」以外の「顧客ニーズ」を考えました。その一つとして、参拝者だけでなく、なかなか寺院に足が向かない人たちのために、境内にカフェを作ります。これが、インスタ映えをする料理で話題になりました。SNSマーケティングですね。
それに加えて、おしゃれな仏具を販売するショップやブックセンターも備えました。それらを目当てに参拝者が来る仕掛けです。
これもスポーツショップで応用できますね。カフェまでは無理かもしれませんが、おしゃれなスポーツ雑貨やスポーツ関連書籍を集めることくらいは出来るでしょう。インスタ映えするディスプレイも可能です。
さらに安永氏は積極的に動きます。「築地本願寺銀座サロン」という施設を作ったのです。「心と体を豊かに」というテーマで、就活セミナーや太極拳・ヨガの講座を安価で行っています。悩みや相談を聞いてくれる「よろず僧談」もあるそうです。これは「コミュニティ作り」につながります。10万人の会員を目標にするとのこと。
このアイデアも、スポーツショップで応用出来ます。フィットネスジムを開くのは大変ですが、近くのコミュニティセンターでスポーツセミナーや講座を開くことは簡単です。スポーツの悩み相談もできるでしょう。要は、やるかやらないかです。
また、築地本願寺の集客・増客アイデアは安永氏一人によるものではないでしょう。僧侶の皆さんで出し合ったアイデアに違いありません。あなたのお店でも、アイデアは皆さんで出すと良いです。
いずれにしても、「顧客ニーズ」をよく研究しなければいけません。とはいえ、お客様が求めていることをお客様に聞いても、なかなか教えてはくれません。お客様のほんのちょっとした言葉や態度にヒントがあることもあります。お店の「感度」が大切です。
さて、築地本願寺の改革は、安永氏が「よそ者」だったから出来たのではないかと思います。従来の考え方にしばられませんからね。また、最初に「どうなりたいか」というビジョンを皆で考えたのも重要なポイントです。その上で、マーケティングを実行していきました。何事も「おおもと」の考えが重要なのです。
いかがでしょうか。今回の事例は参考になったでしょうか。
■今日のツボ■
- 築地本願寺の改革手法から学べることは多い
- 意識改革のためには、まずはビジョンを共有することである
- 顧客ニーズをよく知り、それに応えるアイデアを皆で考える
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