論点がズレている。死者数ばかり煽る日本の新型肺炎報道の違和感

 

一方で、日本産婦人科感染症学会が、「新型コロナウイルス感染症について、妊娠中ならびに妊娠を希望される方へ」という告知を行なっています。

新型コロナウイルス感染症について妊娠中ならびに妊娠を希望される方へ(PDF)

どうも微妙な内容です。いたずらに妊産婦の不安を煽るだけで、しかも現在は妊娠中期まで勤務する女性が多いこと時代ですから、丁寧さにも欠ける印象です。

この団体、性感染症予防に熱心なあまりに、HPVワクチン普及については、そんなに熱心ではないなど、政治的な濁りがあるのかもしれませんが、それにしても、こんな状況で「ジカ熱を思い出せ」というのは、ちょっとヒドいと思います。

いずれにしても、今回の疾病流行に関して、報道機関には自制しようという意志は感じられるものの、どうしても流されているという印象が否定できません。

後は、これは今、大変な時期にやる議論ではありませんが、どうして日本企業がこれだけ武漢で経済活動をしているのか、その分だけ、日本のGDPが減って空洞化が加速しているのではないか、という問題意識は必要と思います。そんな議論ができるところまで、武漢のコミュニティが一刻も早く回復することを願わずにはいられません。

image by: He jinghua / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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