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中国より劣る日本の「入国」対策。新型コロナへの徹底された警戒

先日掲載の記事「日本より中国の方が安心。上海在住日本人が漏らす日本への危機感」では、新型コロナウイルスのある程度の抑え込みに成功していると言われる上海の様子を伝えてくださった、無料メルマガ『上海からお届け! 簡単3分、写真で覚える生活中国語』の日本人著者・ジンダオさん。ジンダオさんは今回も、新型ウイルスへの中国人の徹底した警戒具合をレポートしています。

上海のコロナウイルス対策とマスク代わりに流行りだした医療品

新型コロナウイルス発症騒ぎ後、ついに事務所に出社することに。久しぶりに普段、見慣れた風景を観察しながら出向いてみました。

数週間前にビザ更新の準備で事務所に向かおうとしたのですが、地下鉄を待っている途中で申請時期が早い事が判明(うっかりうっかり)。

そのため事務所へ足を運ぶチャンスが無かったのですが、今回打ち合わせがあり初出社となりました。

電話会議の案件も出社した訳

2020年3月2日月曜。打ち合わせは日本との電話会議。正直な話、自宅でも対応可能なので元々は自宅で対応予定だったのですが、急きょ会社集合に変更。

出社は正直「嫌だなぁ」と思う気持ちが少しありましたが、日本側との打ち合わせで新規プロジェクト。コロナ騒ぎのご時世、確実に話を進めたいので「中国側は事務所に集合!」とボスからのアツい要望が。

日本語が母国語でない中国人も参加。日本人の言葉の表現や向こうの話など分からない部分の確認をしながら話を進めたかったようです。

そんな背景があり準備を済ませて自宅を出たのですが「ラッシュの時間帯の地下鉄に乗りたく無いなぁー」と頭をよぎったのでした。

初出勤で分かった働く中国人の意見

そこで「滴滴快车(dī dī kuài chē)」と言う配車アプリで車を手配。8分ほどで迎えに来るとの事でその場で待機。

アプリには「運転手はマスクを付けています」、「窓を開けて空気を入れ替えています」などメッセージ表示が。この時期らしい配慮です。

不特定多数が乗る地下鉄だと感染源の特定が少々時間が必要でしょうが、仮に運転手が感染源だった場合、スグに私の感染の可能性はわかります。行きくらいはタクシー移動。帰りは昼頃なので人も少ないだろうと地下鉄の移動に切り替えました。

定刻通りに車が迎えに来て移動。運転手は女性の方で当然マスク着用。少し世間話をしたのですが、ラッシュの時間帯は私のような気にしすぎ(ビビリ)が多いのか忙しいそうです。

それ以外の時間帯は、さほど忙しくないとの事。出歩く人が少ないという事でしょう。南京東路辺りは人がまだまだ少ないなど、運転手らしい街の様子を教えてくれました。

「暇でも働くの?」と聞いたのですが、家に居ても退屈だしねぇとの事でした。

しかし話を聞いて「しっかりしているな」と思ったのは、上海はある程度抑え込んでいるが他の省が収まらないと、まだこの状況が続くだろーねーと、判断していた点。

それと運転手が一度だけ咳払いをした後に、窓を開けて換気をした事。

時期が時期だけに気にする乗客がいるんでしょうね、普段だったらやらない運転手の行動に中国人の警戒具合が感じ取れました。

※ 乗客がアプリで運転手の評価に対しての警戒もあると思いますが。

ビル入室も申請必須。通行許可もアプリで情報管理

移動中にボスから「到着したら連絡を」とメッセージと共に謎のQRコードが送付。到着するとビルの入り口は保安スタッフが入室者を一人づつ検温確認中。

私の自宅と同じで基本的にテイクアウトやEMSなどのスタッフは入室が出来ないようです。

ボスに連絡をすると一階に降りてきて私の携帯を使ってQRコードをスキャンして何か登録を始めました。どうやらビル通行証が必要らしく、会社名やら登録。ちゃんと今の時間も表示され画面コピペを防止。

画面は5日。今週は2回出社したため。

このくらいのアプリ日本でもスグ導入できるので、人の動きを管理するには最適だと思います。が、個人情報保護から難しいですかね。

次はエレベーター。噂には聞いていたのですが弊社が入るビルは階層ボタンのタッチ用に綿棒が置かれていて「ご自由にお使いください」との事でした。ボタン自体にも薄いフィルムを装着してボタンの消毒作業が行いやすく加工。

今まで無かった消毒作業の一覧表も。

普段から気を遣い生活する日本は緊急時にあたふた。普段気を遣わず生活し、緊急時に日本以上に気を遣う中国。

中国の日頃と違う極端な対応に「日頃は余力を残しているのね」と思った瞬間でした。日本も日頃は余力を残して生活しましょー。

地下鉄にもサーモグラフィが登場、公共バスの対応は?

無事に打ち合わせも終わり、自宅に戻ろうと地下鉄の駅へ。地下鉄の駅には手荷物検査が導入されているのですが、サーモグラフィも登場。一人ひとり足を止めて温度管理を始めていました。

13時過ぎの乗車でしたが空席が目立つものの乗客は比較的多め。普段の6割という感じでしょうか。

当然みなさんマスク着用。顔つきや着衣から上海の人が多いのなと推測。地方っぽい人の乗車は少ないように感じました。

地下鉄に揺られながら気になったこと。地下鉄は検温チェックしているが、公共バスってどうしているんだろう?の疑問点。

地下鉄を降りて運良く目の前を通った公共バス。まだまだ寒い時期ですが窓を全開で運行していました。

バスは検温チェックが出来ないので、室内の空気を滞留させないように運行。意外と安全で簡単な対策かも知れません。

行きつけの東北料理屋も再オープン

帰り道に行きつけの東北料理屋を通りかかると店が開いていました。夕ご飯に水餃子でもと立ち寄ったので、ここでも少し情報収集。

実は数週間前からテイクアウトアプリで店舗が営業をやったり、やらなかったり表示が切り替わっていたのです。そして営業中でも扱い商品は水餃子のみ。

話を聞いてみると路面店で来客も多いので営業を控えるように指導があった様子。それでテイクアウト中心にと冷凍している水餃子だけで商売を始めるも、大した売上も見込めないので休んでいたようです。

この辺は地域差があると思いますが、指導を受けた政府機関に電話で確認をしてこの日から許可が降りたとの事でした。

マスク不足の中国で流行り始めたマスクシート(マスクパッド)

まだまだマスクがまともに買えない中国。私もECサイトに注文して徴用されたマスクは諦めて返金してもらいました。

自宅にはまだマスク在庫が十分にあるのですが、定期的にECサイトを確認してマスク状況を確認しています。

マスク販売もちらほら始まっているものの予約販売が中心。最近のトレンドとして衛生関連の製品で販売が増え始めているのが「口罩垫(kǒu zhào diàn)」。

簡単にいうとマスクの耳掛け紐がないバージョン。立体型や平面型のシートに両面テープが取り付けられていて、既存のマスクにシートを貼り付けて使うという品。

普通のマスクと同じ効果が見込まれるようなのですが、マスク製造より時間がかからない、耳掛け紐部分が要らないので材料が少なくて済むなど販売までのメリットが高いんだと思います。

日本でもガーゼでマスク作成など始まっていますが、こんなシートを取り付けると更に予防に繋がるかも知れません。ただアマゾンで類似製品を探してみましたが日本では取り扱いが無し。

と更に3日後調べ直すと、販売開始。どうも中国から仕入れているようですが、この辺の動きは早いですねぇ…。画像と同じ品ではないですが中国で50枚入りが99元(約1,600円)が日本で2,200円くらい。

 

日頃の生活で実感した意外な心理的安心

今回の移動でちょっと気がついた事があります。それは地下鉄・コンビニなど当たり前に使っていた電子マネーの良さ。

紙幣や硬貨をほぼ使わなくなった中国。人の手を介して移動する現金はそもそも綺麗と言えません。

ウイルスが付着することは可能性としてゼロに近いと思いますが、こんな時になると現金の受け渡しが心理的に嫌な人もいるかと思います。

スマホでチケット不要で改札を通過できますし、決済はスマホでQRをスキャンするかスマホにQRを表示して決済。手を触ることも現金を触ることもなく支払いが終了。こんな状況の時は何となく安心に繋がるように感じました。

浮かれちゃいけない希望的観測の2週間対応

日本も2週間を目処に休校やイベントの中止を行っていますが、最低限2週間であって必ず2週間後に再開ではないという心構えが必要な点です。

中国では感染の多さが違うと言っても人の移動を省単位でほぼ完全に抑え込んで現在6週間ほど経過しています。日本の場合は足並みが揃って無いので、運が良ければ最短で2週間で終了という感じではないでしょうか。

脅かすわけでなく、そのくらの可能性があると思った方がいいと思います。

足並みを揃えないとずるずる期間延長になって、終わりがない状況は心も体力もすり減らす事になります。また長引くと景気が悪くなる一方です。

また2週間後に経過期間の延長が行われると「2週間と言ったじゃないか!」と揚げ足を取る方も出てきそうですが、足並みを揃えて収束に向けて予防と対策をしていくしかないと思います。薬がまだ無いんだから出来ることから始めないと。

根拠のない自信を持つ前に、若い人でも年配の人でも、中国のように6週間おとなしく生活を強いられるのがイヤなら、2週間くらい団結して我慢した方がいいんじゃないでしょうか。

中国の感染隠匿や感染者数がアテにならない、初動が遅いと批判がありましたが、今度は日本でも同じような批判が出ています。やっぱり中国はねー(日本は違う!)と思っていた人、似たりよったりの日本の状況を、どのように感じているんでしょう。

他国を批判している時間があるなら、自国の自衛に時間をあてて自分のみを守る方が健全です。

何にしても少しずつですが、人の動きが増え始めた中国上海。もう少しの辛抱です。そして3/6に歯の施術が延期となりました…。接着剤、接着剤…。

上海空港で始まった入国後の対応や各地移動から自宅隔離までの流れ

中国で利用されるSNSアプリ「WeChat」で上海の空港での入国時の取り組みが紹介されていました。記事の趣旨は日本や韓国などの感染者が多い重点国に指定された国からの入国者に対して特別対応が必要となっているようです。

記事元「【上海】空港及び交通情報

上海の空港の取り組みでありますが、国際空港がある中国の各地域でも同じような取り組みを実施しているものと推測できます。

日本から中国に入国する場合は、記事元を含めて参考にして頂ければ、中国語が分からない方も通常の入国時と違う入国方法に慌てる事なく対処できると思います。

実際の現場(空港)では多少の不便さや手違い混乱が生じているかも知れませんが、素早く対処に移す中国。迅速に対処し現地で調整をしていくことも大切なのかも知れません。

記事は日本語なので直接読んでもらっても良いですし、私なりに記事内容を少し整理と追記してご紹介。

またネタ元の記事はWeChat上の記事のため削除される可能性もあります。削除またはアクセスが出来ない場合はお許しを。

なお2020年3月10時点での対応を紹介している記事であり、私が空港の状況を直接目にした訳ではなく、記事を元に紹介しているので一部の違いや誤り、その後の変更や追加がある可能性もある点をご理解ください。

上海に到着後の移動先別の対応フロー

上海に入国すると地域別に分けられて処理が行われるようです。記事のフローには中国国内の乗り継ぎについて記述がない点から、上海浦東国際空港での取り組みを元に記事にされていると推測しています。

※ 浦東空港については、確か大連等の中国国内の搭乗は多少あるものの、大半の中国国内の移動は虹橋空港のため。

フロー図からもお分かりの通り、上海在住者・旅行者(住所なし)・上海以外の近郊場所在住者と分かれて対応が行われているようです。

上海在住者でも各区単位に分けられ、出迎えの有無での対応が異なります。また出迎えが無い入国者は通常はタクシー、リムジンバス、リニアなどで移動ですが、現段階では公共機関での移動ななく、政府指定のバスなどで移動となっているようです。

防寒対策が必要な待機時間と移動時間

現在入国者が少ないためか、手配車両の数が少ないためか、バス乗車の数が一定数を満たす、もしくは一定時間単位での出発となるようで、一旦待機時間が設けられているようです。

待機時間は記事によると、かなり時間を強いられる場合もあるようで、まだ寒さ残る時期のため、防寒対策が必要とのことです。

紹介した通り、公共バスは窓全開での移動。空港から移動のバスも同様に窓全開での運転のようで、運行中の車内は風が激しく寒さが厳しいようです。

到着後の自宅隔離や出迎えの運転手も情報記入が必要

出迎え対応の場合は運転手である送迎スタッフの情報、自動車情報、乗車する入国者の情報の記入と提出が義務付けられているようです。

記入情報を確認の上、移動となるようですが、目的地以外での一時下車はNG。途中で他人との接触を行わないための措置でしょう。

送迎車にしても政府専用バスにしても、到着後は検疫官が指定住所で待機しており、検温などチェックを行い自宅にて14日間の隔離生活が開始となるようです。

また記事に記載はありませんが、弊社スタッフも体験したのですが隔離期間は医師が自宅へ毎日訪問して検温を行い確認が行われます。

神経質な取り組みにも思えますが、万が一の発症時に早急にトレサビリティが行えるチェック体制を整えている、上海の空港の取り組み。

勘違いや間違いを可能な限り減らした上で、対象者を抑え込み把握する意味でもしっかりした取り組みだと思います。上海、そこまで対応にあたるのねと思った記事でした。

image by: atiger / Shutterstock.com

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