日本も回避不可能か。新型コロナショックがもたらす世界大恐慌

 

新型コロナによる経済恐慌

新型コロナ感染流行で、世界の景気は落ちて、石油消費量は減少することが明らかである。

このため、サウジはOPECプラスに減産提案をしたが、ロシアが拒否したことで協調減産が決裂した。すると、サウジは、一転、原油を増産するとしたことで、原油価格が30ドル/バーレル以下になった。

シェールオイルの原価は、新規では55ドルであるが、既存設備では35ドル程度であり、30ドル以下になると赤字になる。4月・5月には、シェール企業の倒産が出てくる。

シェール企業はハイ・イールド債(ジャンク債)を大量に起債しているが、このジャンク債がデフォルトになる。ジャンク債を集めてリスクを低めたのが、CLO債であり、このCLO債を大量に購入したのが、地銀と農林中金であり、CLO債の暴落で地銀と農林中金の損失は、非常に大きいことになる。CLO債が崩れると金融危機が日本で起きると言われていたが、それが本当に起きることになる。

2月26日には、CLO債から資金が68億ドル流出している。保険のCDSも上昇してきて、3月4日には社債市場からも143億ドルも流出している。

ということで、原油価格が下落すると、債券市場も崩壊する可能性が高い。

そして、米国にも新型コロナが上陸して、人が集まる場所の閉鎖、飲食街の閉鎖などで、今後米国の消費が落ちるが、GDPに占める個人消費が75%もあるので、企業は雇用を削減して景気悪化に備えることになる。最初にサービス業が傷つき、徐々に製造業も傷つくことになる。

そして、今まで株価を上げるために借金をした結果、企業の借入金は15兆ドルもあり、債券6兆ドルと銀行からの融資が1兆4,000億ドルである。借金して資産を買っていたが、借金と資産を増やす両建て経営の破局を迎える。

このため、資産を売却しても、資産価格の大幅な下落で資金が入ってこない。一方、債券市場が混乱すると、金利が上昇して、企業の起債ができなくなり、債券のデフォルトが増え、かつ資金の確保ができなくなり、運転資金がなくなり倒産が多発することになる。

債券市場の混乱は、「灰色のサイ」と呼ばれるミンスキー・モーメントとなり、株、債券、不動産も金など資産の全部売りになる。銀行の融資も飛ぶので、金融危機にもなる。

ということで、パンデミックから産業危機になり、その後金融危機になるが、その上に原油価格暴落から債券市場の崩壊が重なることになる。大きなドミノ倒しが始まっている。

このため、ムニューシン財務長官を中心に、PPTメンバーが徴集されて、株式市場の株価維持の対策を打っている。このため、13日のNYダウは上がったが、まだ予断を許さない。このため、FRBも日銀と同じ様に、株を買えるようにする法律の改正も検討課題に挙がっているという。

同様に欧州でも感染が拡大してきたが、日銀と同様に金融政策には限界がある。しかし、財政出動は、ドイツが反対しているので、欧州の経済も大きく落ち込むことになる。

逆に、日本の大企業の内部保留額は500兆円もあり、1年間ぐらいは耐えられる体質になっている。米国企業の身売りが出て、日本の大企業は、米企業の買収が選り取り見取りのような状態になるはず。

現時点でよいこととしては、中国の感染収束が期待できる状態になり、サプライチェーンの復活で、製品が出回れば、インフレを抑えることができる。このため、中国の早い復活を期待したい。ここにしか、希望を見いだせない状態でもある。

4月までに新型コロナが収まれば、ブイ字回復になるが、4月以降になれば企業倒産が増えて、産業危機や金融危機になり、経済回復は、長時間がかかることになる。

もし、半年、世界的な感染拡大が続き、同時に世界的な景気後退も起きると、新型コロナ感染で死ぬより、経済的な問題で死ぬ人の方が数百倍も多くなる危険性もある。

print
いま読まれてます

  • 日本も回避不可能か。新型コロナショックがもたらす世界大恐慌
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け