【Jリーグ】長い中断期間がプラスに作用するのはどのチームか?

 

震災でサッカー人生が変わったケース

FW平山とは対照的なのは当時は鳥栖に所属していたMF藤田直である。彼も同じように震災での中断期間中に怪我をした。左足第5中足骨を骨折し全治3カ月と診断されたが「走れないので上半身を鍛えてロングスローを自分の武器にしようと思った」という。この期間中に背筋を鍛えて伝家の宝刀と言われるロングスローを身に付けた。夏に復帰を果たすとロングスローが鳥栖の大きな武器になった。2011年に鳥栖はJ2で2位になって初めてのJ1昇格を果たしたがその後の彼の活躍については今さら言うまでもないだろう。

予期せぬ中断がプラスに作用することもあるし、マイナスに作用することもある。MF藤田直の場合はプラスに作用して、FW平山の場合はマイナスに作用してしまったが今回の新型コロナでの中断についても同じようにプラスに作用する選手とマイナスに作用する選手が出てくるのは確実である。プラスに作用しそうな選手としてすぐに名前が浮かぶのは、やはり、G大阪に入団したDF昌子になる。怪我明けということもあって開幕戦はプレーできなかったが慌ててコンディション面を仕上げる必要がなくなったのは大きい。

開幕戦で最高のスタートを切った徳島のMF西谷和や柏のMF江坂のような選手にとっては「残念な中断」と言えるが、チーム全体で考えた場合、最も恩恵を受けそうなのは鹿島である。ACLのプレーオフを含めて公式戦はここまで3戦全敗。開幕戦はアウェイで広島に0対3で大敗するなど最悪のスタートを切ったがチーム力を高めるための絶好の期間になるだろう。MFレオ・シルバが怪我をして離脱してしまったのは残念に感じるが新しい選手が多くて、かつ、新しいサッカーに取り組んでいる最中なのでプラスの面は大きい。

同じように黒星スタートの清水もコロナでの中断がプラスに作用しそうなチームである。ホームでFC東京と対戦したJ1の開幕戦の内容はまずまずだったが昨シーズンと比べると全く違ったサッカーに取り組んでいるので「見直す期間が出来たこと」は大きなプラスと考えられる。FWティーラシンやFWカルリーニョス・ジュニオなどの新戦力がフィットするための時間が出来たのも大きい。ここまでの2試合で計8失点を喫しているので守備に不安を抱えているが方向性は間違っていない。中断期間がプラスに作用しそうな感じはする。

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