政府の仮定で生まれた無茶苦茶な「感染者数」が苦しめた国民の生活
少し解説をしてみたい。ウィルスが人間の喉の細胞にとりつくと、まず第一段の防御細胞が反応してウィルスの撃退に向かう。でも、これは毎日のようにいろいろなばい菌やウィルス、化学物質と戦うので、それほど強力ではない。ウィルスはノドの抵抗を排するとさらに奥に入り、増殖を続ける。コロナウィルスの場合はインフルエンザより数が少なく、100万個(1ml当たり)ぐらいで発症し始める。
当の本人はウィルスが体内に入ってもまったくわからず、増殖して鼻水がでるとか、咳、倦怠感などが出ないと感染したということはわからない。普通は、家にいて「カゼを引いたな」と思っても、しばらくは普通の生活をしているが、熱がでたり頭がひどく痛くなると病院に行く。それでもまだ「患者」ではない。
病院では医師が診察し、時には検査もして病名を決め、それをカルテに書く。そうなると「何々の患者」ということになる。毎年1千万人もかかる「インフルエンザの患者」というのは、医師がカルテに書いた人の数である。
もし、カゼの「感染者」を明らかにしようとすると、冬のカゼ(インフルエンザ、コロナ、アデノ、ライノ、RSなど多数のウィルス)を毎年、すべての日本人について検査が必要であり、そんなことは非現実的であって1回もしたことがない。これまでスペイン風邪(日本で40万人死亡)、ソ連風邪など日本人も大きな影響を受けたカゼがあったが、「感染者」が問題になったことも検査に注目されたこともなかった。政府も自治体も、NHKも誠意があって「患者」しか報道しなかったからである。(メルマガ『武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』』より一部抜粋)
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