トランプが本気を出せば中国は秒殺される?香港市場がしぼんだら中国経済は息ができない=勝又壽良

 

ロックダウン末端経済を疲弊さす

中国全人代(国会)では、香港に「国家安全法」を適用することを決めた。

「一国二制度」で保証されてきた香港の高度の自治が失われることを意味する。中国が、中英協定に基づく香港返還の目玉である「一国二制度」を破棄した。それは、「破棄せざるを得なかった」という意味に解すべきだ。

コロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)によって、中国経済は文化大革命(1966~76年)後の疲弊した経済と同じ状況に落ち込んでいる。2005年以降、都市美観を損ねる理由で禁止した露店が、失業対策で奨励されているほどである。

この事実こそ、ロックダウン政策が中国経済の末端を破壊した証拠である。

失業者続出の中で、当局にとって否定したはずの露店復活策に出たのは、失業者による暴発を警戒しているためだ。共産主義は失業と無縁と豪語してきた手前、失業者による「仕事寄こせデモ」が始まったら手に負えない始末になろう。

香港での民主化デモを取り締まって、本土へ波及させないためには、香港国家安全法適用が不可欠に違いない。中国共産党の権威を守るため、香港を犠牲にする。そういう選択しかなかったと見る。

中国と米国、ロックダウンでより窒息したのはどっちだ?

中国と米国を比べて、ロックダウンによる経済活動の窒息度合いはどうなっているか。

中国は、政治的にコロナ感染源の汚名を薄めるべく徹底したものだった。その典型例は、武漢市に見られるように、「ネズミ1匹」通さない厳重ぶりだった。これが、他都市の封鎖でも行なわれたのである。経済活動は、根こそぎ止まったのだ。

米国でも、ロックダウンは行なわれたが、各州の自由裁量に任された。防疫対策と経済活動のバランスが取られたのである。例えば、感染死亡者がピークを過ぎると、封鎖を緩めて経済活動を始めた。

米国の5月の失業率が、エコノミストによる事前予測を覆して、さらなる悪化に歯止めを掛け水面下ながら改善を見たのである。新規雇用者が前月比250万人も増えた結果である。これは、4月の失業原因で「一時的」が多数で、「恒久的」を大幅に上回っていた背景によるものだ。緊急避難の一時的な失業が多数であった。

中国の防疫対策は、中国共産党の権威を守る目的が第一である。米国のような経済活動を視野に入れた防疫対策でなかったのだ。これが、中国経済の基盤を徹底的に破壊した。

共産党の権威=政治先行が、経済活動を死滅同然まで追い込んだと言える。

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