再選率9%。負け犬のトランプに尻尾を振り続けた安倍首相の大罪

 

ラストベルトでもトランプ離れ?

このようにトランプ劣勢は押し留めようもない有様で、それはコロナウイルス対応のどうにもならない大混乱への失望に加えて、「ブラック・ライブズ・マター=BLM(黒人の命を大切に)」デモへの徒らな強硬姿勢への反発のためである。ニューヨーク・タイムズ調査の中身(写真3)を見ると、

▼黒人の79%がバイデン支持で、トランプ支持はわずか5%というのは当然として、

▼白人でも、全体ではバイデン43%:トランプ44%と拮抗しているものの、大学卒以上の白人ではバイデン58%:トランプ30%と大きな差でバイデンが優位に立っていることが注目される。これは、BLMデモ参加者の半数は白人だと言われるように、特に白人インテリ層にトランプへの反発が強まっていることの現れだろう。

▼また年齢別では、18~34歳でバイデン59%:トランプ25%、35~49歳で同53%:30%と、若い人ほど反トランプが強く、逆に50~64歳、65歳以上では両者ほぼ拮抗している。これも、BLM デモに若者の参加が目立つことと関係があると見ていい。

他方、高校卒以下の白人を見ると、バイデン34%:トランプ53%と依然としてトランプが強い。4年前の選挙でラストベルトと呼ばれる北部工業地帯の白人労働者・低所得層の不満を爆発力に利用したトランプの流儀はまだ通用するように見える。ところが、ニューヨーク・タイムズによれば、代表的なラストベルトの州であるミシガンはじめペンシルバニア、ウィスコンシンで、今回はバイデンが10ポイント以上の差をつけて優位に立っている。

エコノミストの州別の優劣データで見ても、バイデンはイリノイで安全圏(99%勝利確実)、ミシガンとウィスコンシンで圧倒的(85~99%勝利)、ペンシルバニアで優勢(65~85%勝利)。オハイオは拮抗、ラストベルトではインディアナのみでトランプが圧倒的であるに留まっている(写真4)。

つまり、ヒスパニックの移民労働者が悪い、中国の過剰輸出が悪いと、全てを他人のせいにして悪口を言い立てたところで、それで米国自身が蘇るわけではないという当たり前のことが、4年間かけて立証されたということなのだろう。それでトランプは、今度はBLMデモの裏に潜む過激派が悪いと叫んだのだが、それによって彼の「誰かが悪い」一本槍の路線はますます袋小路に突き進んでしまった。

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