「女性にとって最高の国」は嘘。脱北者の80%超が女性という現実

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北朝鮮では金正恩委員長の妹、金与正氏の存在感が増し後継者の地位に収まったのではないかとの観測も出ています。北朝鮮の女性といえば、テレビのワイドショーは「喜び組」や「美女軍団」などを面白がりますが、実態はどうなのでしょうか。メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』の著者で北朝鮮研究の第一人者の宮塚利雄さんが、脱北女性による手記を紹介。「女性の尊厳と地位が最高の境地に達した国」との触れ込みとは真逆で、「女性蔑視が日常」の現実を伝えています。

女性にとって最高の国?脱北女性が語る知られざる実態

最近、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正朝鮮労働党第1副部長の権勢がすさまじいとマスコミ各社は伝えている。兄の金正恩の健康状態が今一はかばかしくないようで、一部には「党中央」としての金与正が、兄と政権維持を図り、やがては「最高尊厳」にまで上り詰めるのではとも言われている。

この数年来、北朝鮮問題の解説はかつてのように「朝鮮問題研究家」や「朝鮮問題専門家」などと言われた分野の人間だけが論じる時代は過ぎて、「同業他者」ならぬ「異業他者」が朝鮮半島情勢などを論じるようになってきた。

したがって本欄も、他の北朝鮮問題を論じる「他者」とは違う論を張って論じていかなければならない。金与正については、各社が同じようなことを言っているので、本稿では前号に引き続き『統一日報』に掲載された「ノースコリアンナイト──ある脱北者の物語──27」の「ウイルスのように蔓延する人権蹂躙と女性蔑視」(3月25日付統一日報)を転載する。

韓国には“金与正ファンクラブ会長”になると名乗り上げた政府与党の実力者が何人かいるとのことだが、容姿端麗という金与正への助平ヒヒ爺どもの戯言か。以下、北朝鮮における女性の存在を知らしめる記事を紹介する。

真っ赤なスローガンだらけの北朝鮮の労働党機関紙、『労働新聞』は3月8日、国際女性デーに際して社説で「わが国は女性の尊厳と地位が最高の境地に達した国だ」と主張した。その「女性にとって最高の国」からの脱出者は80パーセント以上が女性だ。嘘しか言えない金氏一族が可哀そうになる。

 

北朝鮮の大学生は制服着用が決まっていて、貧乏な私はその制服にとても助けられた。2年生までワンピースだったが3年からは上下が別で、夏の制服の上着は白く透けたブラウスだった。北朝鮮では透けた服は禁止だ。透けたブラウスは急な方向転換などではなく、材料の節約で布が薄くなったためだ。白く薄いので全部透けてしまい、厚めのТシャツを下に着なければならず、暑苦しい夏だった。

 

新しい制服を着て3日が過ぎ、家に帰ってきてブラウスを見たら、背中に下着の形がなぞって描かれていた。大学からの50分の帰り道で、みんなが私をおかしい目で見ていた理由が分かった。ボールペンの跡は落ちにくかった。翌日、体育の授業から戻ったらまた描いてあった。次の授業は体操着を着たまま受けたので、先生に怒られた。冷房設備がない教室で冬用の制服を授業中に着ていると、また怒られた。体育の時間にはブラウスの上に体操着を着た。(中略)大学のルール上、他の服を着られないことを知りながらも私にブラウスを渡している先生の手も躊躇していた。私だけでなく北朝鮮の女性蔑視は日常だ。世界一優越な社会主義道徳観を誇示している北朝鮮では、みんなが体制の犠牲者であった。

転用しながらこの記事を読んだが、とかくマスコミは北朝鮮の女性と言えば、「喜び組」とか「美女軍団」とか、一部の目立った女性のことしか取り上げてこなかった。「金与正だけが北朝鮮の女性ではない」。「北朝鮮の女性蔑視は日常だ。皆が体制の犠牲者であった」との回顧に、北朝鮮問題を論じている輩の中にこの彼女のような心境や境遇を理解している者がはたしてどれだけいるのか。

テレビ局のワイドショーでは、このようなテーマは取り上げないとしても、「知られざる北朝鮮の内情・実情」を知ることは切ないことだが、貴重な証言でもある。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)

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元山梨学院大学教授の宮塚利雄が、甲府に立ち上げた宮塚コリア研究所から送るメールマガジンです。北朝鮮情勢を中心にアジア全般を含めた情勢分析を独特の切り口で披露します。また朝鮮半島と日本の関わりや話題についてもゼミ、そして雑感もふくめ展開していきます。テレビなどのメディアでは決して話せないマル秘情報もお届けします。長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。

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