多くの場合、昆虫体験は子どもにとって最も身近でおもしろい自然体験です。子どもは昆虫体験を通して自然を体験をするといってもいいくらいです。
というのも、虫ほど子どもを楽しませてくれる「自然」はほかにないからです。実にいろいろな形をした小さな生き物が、それぞれのおもしろい動きや興味深い生態を見せてくれます。あるものはコミカルで、あるものはたくましく、あるものは美しく、そしてあるものははかなく、それぞれがたった1つの命を抱いて一生懸命生きています。虫は、子どもたちの目を自然の神秘や命の不思議に向けさせてくれる地球からのメッセンジャーなのです。昆虫体験の中で、子どもはそのメッセージを自分の中にしみ込ませていくのです。
いろいろな夏休みの過ごし方があると思いますが、私は、「子どものとき虫と遊ばないで、いつ遊ぶの?」と言いたいと思います。人間の成長には発達段階というものがあって、各段階でやるべき事があるのです。子ども時代には、子どもがやるべきことをきちんとやらせることが大事です。それが健全な発達というものです。子どものときに虫と遊んだこともないような大人が増えて、だいじょうぶでしょうか?
近ごろは「エコ」とか「環境に優しい」などという言葉が流行っていますが、昆虫体験もない大人にその大切さが本当にわかるのでしょうか?
子ども時代にやるべきことをやらせないで、大人がやるようなことばかりをやらせていては、とても心配です。その子自体も心配ですが、社会全体のレベルでも心配です。自然の神秘や命の不思議に向き合ったことのない人、本物体験や一次情報がなくバーチャル体験や加工情報しかない人、与えられた勉強ばかりやってきて燃え尽き症候群になる人、与えられた問題や仕事だけ能率よくやれる人、自分が何をやりたいのかわからない人…。
あなたは、子どもにどんな夏休みを送って欲しいですか?
自分が子どもだったら、どんな夏休みを送りたいですか?
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