新型コロナウイルスの感染が各地で広がる中、観光庁が決定したある方針が波紋を呼んでいる。観光支援策「Go To トラベル」に関して、時事通信は28日、「東京都以外の地域が新たに事業の適用除外となった場合、その地域への予約済みツアーの割引分は利用客が負担するとの方針を明らかにした」と報じた。
観光庁は国内旅行代金を補助する観光需要喚起策「Go To トラベル」に関し、東京都以外の地域が新たに事業の適用除外となった場合、その地域への予約済みツアーの割引分は利用客が負担するとの方針を明らかにしました。 https://t.co/iJhoVp7KKN
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) July 28, 2020
キャンセル料を客が負担
新型コロナウイルスの感染が再び拡大する中でスタートした「Go To トラベル」。ツアー代や宿泊代の割引価格での販売が27日から始まったばかりだが、大阪や愛知をはじめ、日本全国で感染者数が増えている。
「Go To トラベル」開始直前にはドタバタの中、東京への旅行や東京都民を事業から除外することを決定。これを理由としたキャンセル料による事業者の損失補償を明らかにした。
しかし、感染拡大による、東京都以外の地域が適用除外になった場合については、誰が負担するのかが問題視されていた。
観光庁が突然の方針修正
同紙によると、「これまでは予約済みであれば適用除外となった後でも割引価格で旅行でき、割引分は事業者が負担するという考え」だったが、「政府内で検証した結果、制度上こうした対応ができないことが判明し、方針を修正」したという。
結局、本来は割引になるはずの金額を客自身が負担。誰も得をしない、ただ「Go To トラベル」に振り回されただけということになってしまう。こんな損をしたような気分になる制度を誰が喜んで使うのか?
除外対象地域は増えるのか
菅義偉官房長官は27日の記者会見で、「現状では東京都以外の地域を除外することは考えていない」と述べ、新型コロナウイルス感染者数が急増している大阪府や愛知県などの都市部についても、引き続き対象とする考えを示した。
しかし、28日の発表では、新たに大阪府で155人、愛知県で110人の感染が確認されている。200人越えはもう目の前で、「Go To トラベル」で東京除外を決めた時の感染者数に迫っている。近日中に大阪府や愛知県も除外されることになってしまうだろう。
そうなれば、旅行を考えている人たちが予約をためらうことは明白で、影響を与えかねない。スタートもドタバタなら、走り始めてからも迷走する「Go To トラベル」。まだまだ混乱は続きそうだ。