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加速するポスト安倍争い。「菅義偉政権」誕生で投資すべき業界とは?

安倍晋三首相の健康状態についてさまざまな憶測が流れる中、すでに自民党内では「ポスト安倍」選びが進んでいるようです。次の日本のリーダーは誰になるのかによって、日本経済の行く末が大きく変わると語るのは、国際金融コンサルタントで投資家の菅下清廣さん。菅下さんは自身のメルマガ『経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測”』の中で、予想されるポスト安倍候補を3人あげつつ、もし「菅義偉政権」が誕生した場合に大きく動くであろう業界について、大胆な予測を立てています。

政局!ポスト安倍の行方

いよいよ日本の政界も、ポスト安倍にむかって動き出している! それを裏づけるような2つの記事を、以下ご紹介します。

まず、2020年8月1日の毎日新聞「時の在りか」、見出しは「もう菅政権になっている」。菅義偉官房長官の笑顔の写真入り記事です。その写真のキャプションには「“安倍晋三首相が月刊誌でポスト安倍の有力候補の一人”と発言」の文字。

記者会見で質問され、笑顔を見せる菅義偉官房長官と紹介されている。その中身をちょっと、ご紹介すると、政府のカジを切り、旗を掲げるのは菅義偉官房長官である。

「前面に出てきましたね」と政府高官に水を向けたら、「もう菅政権になってるよ」
さらりと返されぎょっとした。
(中略)
ぎょっとしたのは、以前と評価が一変していたからだ。

「菅さんは剛腕だけど、首相にしてはいけない、抱負経綸(ほうふけいりん)がないから、と言ってたじゃないですか」そうただすと、真顔で答えた。

「だったら、他にいますか」
「とにかく政府を動かせなきゃ始まらない。菅さんは安倍さんよりバランス感覚もいい。昨年の訪米で外交デビューも済んでいる」

ちなみに、「ポスト安倍」候補の自民党石破茂元幹事長や岸田文雄政調会長はまるで人気がない。

「無理でしょう。務まらない。」

官僚本位の「菅政権待望論」には素直にうなずけないが、官僚が仕事を通じて知る政治家評もあなどりがたい。……末期である。

以上、伊藤智永という専門記者の署名入りコラムです。

この記事の内容は、「霞ヶ関の高級官僚たちからは、すでに『菅政権待望論』が出てきている。まさに安倍政権は末期的症状」だということです。

そして、もうひとつの記事も「ポスト安倍」を占うには興味深い内容です。

同じく2020年8月1日の読売新聞「語る コロナと政治」、見出しが「一律10万円 元気届けた…自民党幹事長 二階俊博氏」。ご存知、辣腕を振るう、二階幹事長のインタビュー記事ですが、その中で、“菅氏を評価”という小見出しがあり、

「今国民は誰も衆院解散なんか望んでいない。新型コロナ対応などをしっかりやってもらいたいという希望の方が多い。謙虚にその期待にどう応えていくかということに最善の努力を尽すべきではないか」

と述べています。実は菅官房長官も公の席で、ほぼまったく同じ内容の発言をしているのです。

菅、二階両氏とも、解散総選挙の決定は首相の特権事項と知り尽くしている立場ですが、この秋の解散総選挙を明確に否定しています。これだけ堂々と安倍首相に選挙をするなと主張しているのは、安倍、麻生(財務大臣)ラインのパワーが低下している証明でもあります。

永田町政界情報を多少でも知っている人なら、お分かりと思いますが、安倍首相の盟友・麻生財務大臣は再三再四、安倍首相に今秋の解散総選挙を提言しているのです。

この安倍、麻生ラインはポスト安倍の有力候補として、岸田文雄政調会長を推してきたいきさつがあり、それを拒否する菅、二階ラインとの暗闘が続いているとも言えます。

解散総選挙「ラストチャンス」は年末年始か?

菅官房長官は、もともと、安倍首相が解散総選挙をせず2021年9月に退任、その後、総裁選挙で新しいリーダー、自民党総裁・総理大臣を選ぶのが良いという考えだと見られています。

なので、このまま安倍首相が年内解散できないということになれば、来年1月の冒頭に解散しないかぎり、東京オリンピックもあれば、任期があと9ヶ月を切ることになり、その後に解散するのは極めて難しい状況になります。私は解散するなら、年末年始が最後のチャンスではないかと思います。

どちらにしても、メディア、マスコミの政界情報を見るかぎり、菅、二階ラインは「菅政権誕生」でカジを切ったかのように動き始めています。なので今後の菅、二階ラインの言動には要注意です。

もし菅政権誕生となった場合、どのような政策転換が起るか? 菅義偉という政治家の人物像、経歴、交遊、人脈ネットワークなどを分析する必要があります。

なぜなら、現在の株高は「アベノミクス」という政策が2013年から始まったからです。アベノミクスで、日経平均株価は約3倍になっています。政治と経済はコインの裏表です。

次のリーダーが、「日本の景気が良くなる」「企業業績が拡大する」「株価が上昇する」といったような政策を打ち出してくるかどうか? 私のような投資家にとっては一番重要なポイントとなります。

菅・二階政権誕生なら不動産「大化け」も

そして、もし菅、二階政権誕生となれば、久しぶりの「党人内閣」の登場になります。

過去の自民党総裁の系譜を見れば分りますが、吉田茂を筆頭に、佐藤栄作、池田勇人、福田赳夫、中曽根康弘などすべて高級官僚、東大京大卒のエリート出身です。あるいは、小泉純一郎、安倍晋三のように、二世、三世の名門の出です。その一方で田中角栄などは、学歴がなく、庶民の出のタタキ上げで、政界トップに登りつめて権勢をふるいました。

どちらかと言えば、菅義偉も二階俊博も、この田中角栄型に近いタタキ上げの政治家です。おそらく安倍政権とは、ガラリと変ってしまう政権となるでしょう。

政界の新陳代謝が起るのは、ほぼまちがいない。なので政策転換となるでしょう。アベノミクスは終焉して、“スガニカイミクス”が出てきます。

どんな政策か? 今回、コロナ感染拡大を多少容認してでも、両氏は「Go Toトラベル」を強行しています。

なので将来、2022年頃には、地方活性化を名目に「ミニ日本列島改造論」が出てくる可能性があります。長いデフレ不況、デフレマインドから脱出できない日本に新しい日本列島改造論を打ち出して、インフレを起そうとするのではないでしょうか。

奇しくも二階俊博は、田中角栄を「自己の政治の師」としてあおぐ人物です。菅義偉も秋田の地方の出、田中角栄とその出身が相似しています。

だから、地方活性化には、菅、二階ともに、おおいに情熱があるはずです。以上の観点から、今低迷している不動産業界は、長い目で見ればバーゲンセール中と言えます。とくにAIクラウドなどを活用している中堅不動産や建設会社の株が2~3年後には大化けする可能性もあります。

さて、いよいよ永田町はこれから政界秋の陣へ! 政権末期近しと見られている安倍首相が、年末年始に乾坤一擲の勝負に出るかどうか? 本年11月の米国大統領選挙の結果と合わせて、日米の株価の行方を決めると言っても過言ではありません。

「アベノミクス」政策は次期政権でも継続されるのか?

2012年末、安倍第2次政権が誕生して以来、株価は上がっています。

日経平均株価は出発点の8000円台から2万4000円台まで上昇、約3倍になっています。アベノミクス相場です。このアベノミクスという政策が継続されるかどうか? 私のような投資家にとっては重大事です。

今のところ「ポスト安倍」候補は3人にしぼられつつあると見ています。

本命:岸田政調会長、対抗:石破元幹事長、ダークホース(穴馬)として菅官房長官。菅・本命説もあります。おそらくこの3人のうち誰かが次の首相になるのではないでしょうか? 「安倍4選」はないと思います。

むしろ安倍総理の胸のうちは、長いデフレ不況を克服し、ここまで日本経済を回復、株価も上昇、トランプ大統領との良好な関係、日米同盟の堅守、そして東京オリンピックの開催を花道に後継者へバトンタッチという展開を望んでいるのではないかと推測します。

そして、今回の総裁選挙には次の次の候補たちも手を上げるものと思われます。

ついでに、次の次の候補のお名前を私の独断と偏見で上げさせていただくと、河野太郎防衛大臣、茂木敏充外務大臣、加藤勝信厚生大臣、西村康稔経済再生大臣、以上が安倍内閣の現役閣僚。5人目に小渕優子元経済産業大臣、そして、林芳正、宏池会(岸田派)座長、世耕弘成参議院自由民主党幹事長。最後のお二人は参議院議員ですが、林氏はもし次の首相が岸田氏なら次の次には有力候補となります。

また世耕氏も安倍首相の側近中の側近。長く官房副長官をつとめ、参議院からは初の経済産業大臣に抜擢されました。次の政権でもアベノミクスが継続されるなら、参議員というハンディキャップはあるものの、西村氏とともに清和会(安倍派)の次の次の有力候補となるでしょう。

また日本の初代女性首相候補としては、まったく下馬評にはあがっていませんが、小渕優子氏が有力と見ます。なんと言っても、小渕恵三という、誰からも好かれた元首相の血を引いて、旧経世会(現竹下派)の希望の星です。

どちらにしても、次の日本のリーダーの資質が日本の未来の命運を決めることは間違いありません。

もうひとつは米国大統領選の行方です。トランプかバイデンか? 次の米国大統領が誰になるかによって世界の潮流は変ります。この米国の次のトップが決まる2020年11月3日は世界の政治と経済の転換点となります。

勿論、日米の株価の行方を大きく左右するでしょう。

image by: 首相官邸

菅下清廣この著者の記事一覧

国際金融コンサルタント、投資家、経済評論家、スガシタパートナーズ株式会社代表取締役、立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。 ウォール街での経験を生かした独自の視点で相場を先読みし、日本と 世界経済の未来を次々と的中させてきた「富のスペシャリスト」とし て名を馳せ、「経済の千里眼」との異名も持つ。経験と人脈と知識に裏 打ちされた首尾一貫した主張にファンも多く、政財界はじめ各界に多くの信奉者を持っている。著書に、ベストセラーとなっている『今こそ「お金」の教養を身につけなさい』(PHP 研究所)、『資産はこの「黄金株」で殖やしなさい!』シリーズ『第4次産業革命で一人勝ちする日本株』(実務教育出版)、『2019年までに株でお金持ちになりなさい』(徳間書店)など多数。

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