池田教授が養老孟司氏とのZoomで考えた「コロナと孤独と社会システム」

 

飲食店や、インバウンド頼みの店、旅館、観光関連会社、航空会社、鉄道会社などの経営が火の車なのはよく分かるが、意外なことに病院の経営が大変らしい。病院は感染する確率が高そうなので、不要不急の診察はなるべく避けようと考えるお年寄りが多くなったためだ。オンラインで薬だけもらう患者も増えた。今まで、大学病院などの大病院にはなるべく行かずに町医者に行けと指導していた手前、ドンドン病院に来てくれとも言うわけにもいかないのだろう。

お年寄りは病院のお得意さんだっただけに、困っているみたいだ。しかし、考えようによってはもともと病院に行かなくてもいい人が来なくなっただけで、正常に戻ったとも言えるわけで、今までが過剰診療だったのである。このまま患者が減ると過剰診療を当てにした病院の経営戦略を変えざるを得なくなるだろう。

私は、定期的な緑内障の検査を8月に行う予定であったが、検査室が狭いのでやらなくてもいいと言われ、延期してしまった。6月の下旬に田作を噛んでいて歯が欠けて歯医者に行ったら、今回は根治治療でなくて、一寸詰め物をしておいて、それがだめになってから、本格的に治療しましょうと言われた。私としてはちゃんと根治治療をしてもらいたいと頑張って、結局6回通って治してもらったが、歯医者さんもあまり患者に来てほしくないのかもしれない。

講演や対談やインタビューや打ち合わせはもっぱらZOOMでやるようになって、それは全くかまわないのだが、オンライン飲み会というのはNGである。会食は目の前に酒や肴があって、実際に飲み食いしながらおしゃべりをするのが楽しいのであって、パソコンの画面にビールの缶やワインの瓶やチーズが映っていても何も楽しくない。シャンパンの瓶が置いてあっても中身がシャンパンかどうかは飲まなきゃ分からない。

リモートに適応した人はコロナ禍が収まって、毎日、出社となればストレスが溜まり、優秀な社員は週の半分はリモートでいいよという会社に移ってしまうかもしれない。そうなると他の会社もそうせざるを得なくなり、通勤列車は緩和され、鉄道会社はお客さんが減って大幅値上げを余儀なくされるに違いない。オフィスビルの需要も減って、都心の地価が安くなるだろう。

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