なかなか元には戻ることがない、一度離れた仲
四つ目は、【欧州との関係】についてです。トランプ政権下では、ドイツ・メルケル首相やフランス・マクロン大統領との微妙な距離感と、トランプ大統領が就任当時から強調したNATOを通じた欧州各国の“安全保障ただ乗り”問題への不満ゆえに、第2次世界大戦後最悪とも言われる米欧関係になっています。
トランプ政権ではドイツに駐留するアメリカ軍の縮小と再配置が進められるようですし、デジタル課税を巡る争いなどが存在しています。これはどうなっていくのでしょうか?
トランプ政権が続いた場合、恐らくですが、欧州各国とのデタントは起こりません。ドイツではメルケル首相がついに退陣することになり、リーダーシップは後継者に託されますが、トランプ大統領とは与しないとの方針は変わらないでしょう。
フランス・マクロン大統領は、トランプ大統領に直言できる数少ないリーダーではありますが、アメリカから離れて欧州としてのリーダーシップの回復を願うマクロン大統領は、ことあるごとに欧州の対米最前線で非難の矢面に立っていることから、残り4年も(マクロン大統領が再選されるか否かは別ですが)同じような付かず離れずの関係でしょう。
東欧諸国はトランプシンパが多いため(ハンガリーのオルバン首相など)、アメリカと東欧の不思議な蜜月関係は続くことになります。
これらの欧州各国との関係は、バイデン政権になった場合、一応表面上は改善に向かうように取り繕われることでしょう。ただし貿易・通商上の関係改善や、対中包囲網の形成といった部分に限られ、一度離れた仲はなかなか元には戻ることがないでしょう。
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