オバマの失敗を取り戻す。バイデン当選で高まる軍事衝突の緊張

 

バイデン当選で米ロ関係は再び緊張状態に

五つ目は、【ロシアとの関係】についてです。トランプ大統領とプーチン大統領は馬が合うのか、直接に会うと、非常に有効的な雰囲気を醸し出すリーダーです。新STARTIIの延長を巡る問題や、選挙介入・サイバー攻撃についての問題などでは対立関係がありますが、その他のイシューについては、さほど直接的な攻撃をしていません。

欧州各国がロシアへの制裁を強める原因となったウクライナを巡る問題についても、トランプ大統領は懸念こそ示しますが、本格的な制裁や非難には至っていません。

2021年からの新政権では、米ロ関係は国際情勢を見るうえでどのように変遷するのでしょうか?

トランプ政権の場合は、START2が延長されて、軍事・安全保障上の安定的な関係は再構築できるかもしれませんが、アメリカが元々望んでいた中国を交えるという構想は、ロシアには届かず、中国からの強い反対もあり、どこまで意味のある枠組みにできるかは不明です。

これがバイデン政権の場合は、これまでトランプ大統領とプーチン大統領のやり取りをこき下ろしてきた張本人で、かつ噂通りであれば、息子のハンター氏とウクライナの特別な関係が邪魔をして、米ロ関係は再度、緊張状態に陥ることになります。ウクライナ問題やベラルーシ問題、サイバー攻撃などの問題において、アメリカは原理原則を盾に、ロシア・プーチン大統領批判を継続するだろうと考えられるため、バイデン政権では、ロシアとの関係は悪化するか、非常にデリケートなバランスで推移するでしょうが、結果として中ロの“対アメリカ”での接近を加速させる結果になるでしょう。欧州各国とのきずなが完全に戻ることがないだろうとの見解からも、ロシア対策は困難を極めそうです。

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