オバマの失敗を取り戻す。バイデン当選で高まる軍事衝突の緊張

 

“仲介者”ではなくアルメニアへの肩入れを選択するバイデン

六つ目は、一見、アメリカ大統領選挙の結果とは関係なく激化しそうな【アルメニアとアゼルバイジャンとの間の紛争】についてです。

2度の停戦合意については、一応、ロシアが中心となった米仏ロの仲介となっていますが、本件は、先に挙げたトルコとの関係やロシアとの関係、欧州との関係にも影響を受けることになるため、今後の国際情勢を占う上で見ておく必要があるかと考えます。

トランプ政権は一応停戦を呼び掛ける者の、これまでのところ、ロシアやフランスに比べると、本件に深入りしていません。一つはロシアや欧州各国のように直接的な利害がないことが考えられますが、先に述べたトルコの野心への対応、ロシアへの釘差しなどの理由から、出方を探っているとも思われます。実利主義の権化のようなトランプ大統領としては、直接的にアメリカの利益になるのでなければ、さほど関心はないものと思われます。

しかし、バイデン政権になった場合には、対ロシア政策(対決姿勢)やトルコへの威嚇、そしてナゴルノカラバフ地域での戦闘がユーラシアのみならず、中東地域などへ飛び火する懸念から、【ナゴルノカラバフ地域で起こっていることは、国際法違反だ!】とでも言いだして、原理原則からコミットを試みるかもしれません。

その場合、恐らく“仲介者”というよりは、アルメニアへの肩入れをすることになるでしょうから、結果がどうなるにしても、何らかの望ましくないバックラッシュに悩まされる方向に陥る危険性を予見します。

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