韓国法相がSNSで報復予告。「玉ねぎ女」の暴走に検事ら一斉蜂起

 

ユン総長は指揮権発動直後の10月22日、国会法制司法委員会で、大検察庁の国政監査に出席し、「検察総長は法務部長官(法務大臣)の部下ではない」としたうえで、具体的な事件で法務大臣が検察総長を指揮するのであれば話は聞くが一方的に「検察総長は外れろ」というのは検察庁法に反すると反撃した。これまでの法務大臣は、検察庁法を尊重したゆえ無暗に指揮権発動をやったりしなかったが、権力ゴッコに明け暮れているチュ・ミエはこれを乱発しているわけだ。

文在寅政府のやろうとしている検察改革というのは、人権の尊重、法のもとでの公平と平等、司法独立という自由民主主義の発展を目指すものではなく検察を自分たちの召使にしようという陰謀だという声が高まっている。

チュ・ミエの指揮権発動で注目せねばならぬもう一つの点は、いずれの指揮権発動もまず詐欺犯が登場して与党寄りのメディアがその人物の意見を報道したのちに発動されているという事実がある点だ。たとえば収監中のキム・ボンヒョンの獄中からの手紙が今回の3回目の発動の根拠になっていたりする。

今回の指揮権発動があまりにも露骨で悪質だったため多くの検事たちの怒りをかった。実名で最初に声をあげたのはイ・ファヌという済州島地検の検事。10月28日、韓国検察内ネットワークでチュ・ミエが人事権、指揮権、監察権を濫用していることを批判し、政府のやっている検察改革は根本から失敗したと投稿した。

これに対してチュ・ミエはSNSで、「そうしたカミングアウトには改革だけが答えだ」と応酬した。これはイ・ファヌ検事に対する報復予告とみられている。つまり検察改革によってお前を処罰するぞと脅しをかけているわけだ。

このSNS投稿に堪忍袋の緒が切れた検事たちが一斉に声を上げチュ・ミエを批判した。「わたしもイ・ファヌだ」と。こういう検事が全国300余人に上った。韓国の全検事が2,154人いるなかで、そのうちの10%にも達する。水原のある検事は、今回の検察改革は執権勢力と一部検事たちによる合作の詐欺だったようだと批判した。過去、検事たちが連判状を書いたこともあるがこれほどまでに多いのははじめてのこと。検事出身のある弁護士は、検事の95%がこの行動に賛成しているといっている。検事たちは、「北朝鮮じゃあるまいし、怖くてなにも言えない世の中になったようで悲しい。抑圧と恐怖は改革ではない」と嘆いている。

検事たちの政府批判行動が今後どういう広がりをみせるかはわからないが文在寅に、チュ・ミエをとるかユン・ソンヨルをとるかの選択を迫ったことは間違いない。もしユン・ソンヨルを切れば、国民のユン・ソンヨル待望論に火をつけることはまちがいない。今もイ・ナギョン、イ・ジェミョンについで大統領候補として支持率17%という支持をとっているためだ。文在寅の任期は2022年5月9日までとなっている。

image by: 秋美愛 - Home | Facebook

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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