日本のメディアがほとんど取り上げぬ「22222222222宣言運動」の意義

 

《資料4》最近の世界情勢

■東西冷戦終焉後の世界情勢

  1. 1990年ごろの東西冷戦構造の終焉以来、勝った自由主義陣営側で新自由主義的な経済構造が進み、貧富の格差、地方の衰退などの現象が顕在化した。
  2. 科学技術の発達が進み、情報化社会に突入して、膨大な情報の整理がつかなくなった。
  3. グローバリゼーションが進み、その反動として、これに抵抗する個人や国家が独自性を強調する傾向が生まれた。
  4. 価値観が多様化する中で、圧倒的な価値観が流動化し、衰亡してきた。
  5. その結果として、一国主義、対立、分断、差別などの現象が世界的に広がり、人々の不安が増大した。

■新型コロナウイルス問題発生後の世界情勢

  1. 最近発生した新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、上記の傾向を促進する側面を持っている。
  2. 感染症防止のためには、地元である自治体や国の権力を強化しなければならないという側面がある。これはとりもなおさず個人の権利や自由を制約するという半面を持つ。
  3. それは当然国家主義の増強につながり、専制や独裁を招く恐れを含んでいる。民主主義否定の側面である。
  4. ここで問題となるのは、感染症は、単に今回のようなコロナウイルスの程度にとどまらず感染力や致死性のもっと高いウイルスの発生の可能性が否定できないばかりか、地球温暖化によってその恐れが倍加したということである。
  5. これは、前述のような国家主義増強への傾向と並行して、逆に、国同士の対立をやめ、国境を越えて協力し、全力を挙げてその予防、防止の努力をしなければ人類は絶滅してしまうという認識を基礎としたグローバルな連帯の強化という傾向をも生むこととなった。人類は今や相反する2つの要請に直面している。

■これらの動向に対処する方向性

  1. まず認識しなければならないのは、感染症に対抗するため国の権力を強化しなければならないという要請はある程度是認せざるを得ないとしても、それが行きすぎると、排他的な国家主義が強まり、国家間の対立を招きやすくなり、ひいて戦争に至る恐れがあるということである。
  2. 感染症も戦争も人の命を奪うものだし、現在では両者とも人類絶滅の力を持っているのであるから、人類は全力を挙げてこの両者に立ち向かわなければならない。そのためには、この際感染症防止に必要な「人類の連帯」を最優先とする意識と政策が必要である。
  3. 「連帯」は「対立の超克」と「不戦」を不可避の前提、あるいは内容とする。人類絶滅を防ぐためには、この三者の理念の達成を人類共通の課題とする以外に道はない。
  4. その方法はいろいろありうるが、この課題は上から命令されるのではなく、下から、つまり国民個人個人が「まさにその通り」と納得して意識するのでなければ力がない。
  5. そのためには、国民が自分たちの代表者と感ずるような著名な文化人が、自らの体験にもとづいて不戦を訴えるという方法が最も効果的であると考えた。

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