日本のメディアがほとんど取り上げぬ「22222222222宣言運動」の意義

 

《資料5》プロジェクトの思想

最も説得力をもって主張できるのは、実は戦争を始めて敗れた体験を持つ国ではないだろうか。「最近の世界情勢」で明らかにしたように、人類は激烈な自然の脅威の前に、連帯してこれに立ち向かう必要があり、そのためには戦争放棄が不可欠である。

しかし、戦争は常に何らかの名目があるから行われるのであって、事はそう簡単でない。その中にあって、いかなる名目があろうとも戦争は絶対してはならないのだということを最も説得力をもって主張できるのは、実は戦争を始めて敗れた体験を持つ国ではないだろうか。

戦後日本は過去の反省の上に立ち、戦争放棄を憲法の中に明言して、平和国家としてその後の歴史を歩んできた近代日本がかつて東アジアを舞台に展開した対外活動は、すべてそれなりの理由、名目があった。しかし、ひるがえって被害を受けた外国の民衆の立場に立つと、そのような名目など全く意味をなさないことがわかる。問題は戦争や植民政策の内容をなし、またはそれに付随して行われる「個々の行動」であって、その被害を受けた民衆や遺族の心情に思いを致すとき、心ある日本国民は居ても立ってもいられず、胸の痛む想いを禁ずることができない。

近代日本はこのようにして他国に甚大な損害を与え、自らも大きく傷ついて国を滅ぼした。戦後日本は過去の反省の上に立ち、戦争放棄を憲法に明言して、平和国家としてその後の歴史を歩んできた。そのような経緯を自ら見聞してこられたのが、85歳以上の長老の方々である。

■「過去に起こした過ちを再び繰り返さない」との切実な訴え

今回、日本の長老たちがコロナ問題を契機として改めて「戦争の放棄」を世界に向けて訴えたいと考えるについては、あの過去を直視した上でなければ未来を共に語ることができないという深い想いがあったと思う。だからこそ、まずもって、当時日本が戦争を現に行い、占領をし植民地にした東アジアを戦争の無い地域にしたいとの提言に至ったのであろう。「過去に起こした過ちを再び繰り返さないようにしよう」との切実な訴えは、自国はもちろん、まずもって当時の被害国に向けられた上で、世界に広めるという順序になる。

■コロナ禍という不幸を転じて、「戦争放棄」という人類最高の目標を実現する

顧みれば、帝国主義戦争と言われた第1次世界大戦が終了した直後、国際連盟という世界組織が作られ、1928年にはいわゆる「不戦条約」が締結された。その主な動機がこれまでにない激甚な戦争被害にあったことは言うまでもないが、今にして思えば、1918~9年にヨーロッパの戦場をはじめ世界中に流行し、少なくとも世界人口の4分の1が感染、死者2,000万から4,000万人に及んだと言われるいわゆる「スペイン風邪」も、その背景をなしていたのではないかと推察される。

この不戦条約は、第2次世界大戦終了直前に制定された国際連合憲章にほとんどそのままの形で引き継がれた。さらにベトナム戦争終了後の1976年にASEAN諸国のイニシアティブでもって締結された「東南アジア友好協力条約」は、類似の条文を含んでおり、日本、中国、韓国、北朝鮮などのアジア諸国はもちろん、アメリカ、ロシアなどの世界主要国も批准するに至っている。

今や人類はこのような先人たちの努力を継承し、コロナ禍という不幸を転じて、「戦争放棄」という人類最高の目標を実現するきっかけにしたいと心から願うものである。しかしその方法は難しい。長老の方々は、上記のような、効果のある方法を考案されたのであった。

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