敵なら誰でも「左翼」呼ばわり。トランプと安倍という同じ穴のムジナ

 

これにはさすがに、民主党議員だけでなく、多くの共和党議員からもトランプの責任を問う声が相次ぎました。一例として、ネブラスカ州選出の共和党のベン・サッセ上院議員は、自身のツイッターで「今日、世界で最も偉大な自治の象徴である米連邦議会議事堂が荒らされたが、その時、この国のリーダーはパソコンの後ろに隠れて憲法上の義務を果たした副大統領を批判するツイートを繰り返していた」と厳しく批判しました。

米民主党は11日、トランプの弾劾訴追に向けた決議案を下院に提出し、弾劾手続きに入りました。13日までにトランプが辞任するか罷免されなければ、同日にも弾劾に踏み切るとしています。下院は民主党が多数派ですから、トランプは2019年の「ウクライナ疑惑」に続く二度目の弾劾という歴代大統領初の不名誉を得ることになります。これには「自業自得」とか「ご愁傷様」という言葉しか見つかりませんが、あたしが驚いたのはトランプの悪あがきぶりでした。

今回の大事件を受けて、米ツイッター社はトランプの公式アカウントを「永久凍結」にしましたが、なんとトランプは、すぐに別のアカウントから「ツイッター社は左翼と手を組んで私のアカウントを凍結した!」というツイートをしたのです。もちろん米ツイッター社は、このツイートもすぐに削除しましたが、自分の気に食わない人たちを「左翼」と決めつけ、何の根拠もないデマによる誹謗中傷を繰り返し、アカウントが凍結されるとすぐに別のアカウントから誹謗中傷を始めるなんて、まるで日本のネトウヨじゃありませんか。

こんな人物が国のトップだなんて、開いた口がふさがりま…、あっ!日本のトップも、つい最近まで、TPP法案に反対する市民のことを「左翼の皆さん」「恥ずかしい大人」などと自身のフェイスブックで誹謗中傷した人物でしたね。こんな最低の人物を7年8カ月も政権の座に置いていたあたしたち日本人には、とてもアメリカ人を批判する資格などありませんね。それどころか、アメリカ人はわずか1期でトランプを政権の座から引きずり降ろしたのですから、日本人より遥かにマトモだと言えるでしょう。

ところで、この大事件で掻き消されてしまったのが、昨年の大統領選でトランプ陣営の代理人を務めたシドニー・パウエル弁護士が、投票機メーカー「ドミニオン・ボーティング・システムズ」から名誉棄損で訴えられるというニュースでした。昨年11月の投開票後から、パウエル弁護士は再三にわたって「バイデンに有利になるようにドミニオンの投票機内の票が入れ替えられた」「中国とイランがドミニオンの投票機のネットワークに侵入して票のカウント数を書き換えた」などの陰謀論を繰り返し、各州の裁判所に選挙結果を覆すための訴訟を起こして来た人物なのです。

冒頭でも書いたように、これらの訴訟は全て失敗に終わりましたが、ドミニオン社は、これらの根拠なき無責任発言によって自社の投票機の信頼性を大きく傷つけられたとして、訴訟を指示したトランプではなく、実際に訴訟の手続きをしたパウエル弁護士を名誉棄損でワシントンの連邦裁判所に提訴し、賠償金13億ドル(約1,350億円)を求めたのです。パウエル弁護士は何の根拠もないデマを吹聴したのですから、ドミニオン社側が勝訴する可能性は極めて高く、要求額100%は無理としても、数億ドル単位の莫大な賠償金が認められる公算が大きいです。

完全に不利な裁判を起こされたパウエル弁護士は、何とか責任を逃れようとして、これまでの発言や訴訟手続きについて「トランプの指示だった」「私はトランプに命令されてやっただけ」と法廷で述べるでしょう。あたしは、このニュースを読んで、自分の昨年12月24日のツイートを思い出しました。

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