中国とトルコに下る裁き。「好々爺」バイデンが許さぬ敵と裏切り者の罪

shutterstock_1899075505
 

危惧されていた大きな混乱も起きることなく、1月20日に執り行われたバイデン大統領就任式。新型コロナウイルスへの対応やトランプ氏が破壊した各国との関係修復など課題山積の中での船出となりましたが、「トランプ後」のアメリカと世界はどのような道を辿ることになるのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者の島田久仁彦さんが、さまざまな情報や要素を勘案しつつ、今後の世界情勢の予測を試みています。

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

バイデン新大統領のアメリカ合衆国と国際情勢の行方

2021年1月20日、第46代アメリカ合衆国大統領ジョー・バイデン氏の政権が正式にスタートしました。1月6日の反対派による議会占拠事件を境に、一気に反トランプの流れがワシントンDCでも決定化しましたが、そのような中でもまだ就任式当日の混乱を予想させるような気配も多くありました。

しかし、ふたを開けてみると、予想に反して非常に穏やかな雰囲気の下、そしてトランプ前大統領不在の下、政権交代が行われました。

普段ならば歴史的な瞬間に立ち会う国民で埋め尽くされる会場は、コロナの影響もあり、国民の代わりにコロナウイルスの感染拡大によって失われた生命への敬意を表するために、数多くのアメリカ合衆国国旗がはためくという演出により、厳かな雰囲気に包まれました。とりあえず、新政権の船出は平穏に始まったと言えます。

ドナルド・トランプ大統領の下での4年間、国際情勢は大きく変容し、自国第一主義が世界に広がりました。またコロナウイルスの感染拡大により、世界は大きな混乱と悲しみに見舞われ、その災禍はまだ止まる気配がありません。

新しい大統領が生まれ、大きな政策転換が行われる中、まだこの脅威が収まることはありません。バイデン政権にとってのプライオリティーNo.1は間違いなくコロナを克服し、一日も早くアメリカ経済の立て直しをすることでしょう。

多くの主要閣僚候補の議会での聴取もスピーディーに終えられ、Day 1から早速コロナとの闘いという困難な仕事にとりかかる姿勢を示しています。

アメリカ合衆国が本格的に国際舞台において、バイデン新大統領の公約通り、協調への復帰を行い、再度、major playerとして“暴れる”まで、コロナ対策にかかりきりであるため、しばらくの時間を要するでしょうが、早速いくつかの動きがありました。

パリ協定への復帰のための大統領令の署名、トランプ前大統領がスタートさせたWHOからの脱退のキャンセルを行うための大統領令への署名…早速America is Backをアピールすることも忘れていませんが、国際社会の見方は、まだまだ本当にアメリカは国際協調に戻ってくるのかどうかについては、半信半疑なようです。

そのような中、米国“不在”の国際舞台において、勢力拡大に勤しむのが中国です。

ASEAN諸国をはじめ、アフリカ、中東、そして欧州各国を自陣に取り込む作戦に乱れは生じておらず、途上国で生じる膨大かつ深刻な債務不履行問題に付け込む形で、半ば縛り付けるかのように中国の勢力圏の確保に乗り出しています。

ASEAN各国は、中国の企みに上手に乗りつつ、債務の軽減や衛生戦略物質の確保、そして何よりもワクチンの早期獲得の約束を取り付けるという現実的な政策方針に転換しています。

とはいえ、南シナ海問題における緊張関係は少しも緩和されておらず、「経済・社会的側面と国家安全保障問題とをきれいに切り分けた」路線を取っています。

RCEPを通じた中国経済圏との連携を強化し、中国の経済力による優位性を受け入れる半面、欧州・米国、そして日本ともタッグを組んで、伸長著しい中国の領土的な拡大への警戒もさらに強め、中国封じ込めの一翼を担うという【両にらみのギリギリの外交戦略】を遂行中です。

今後、中国が、対欧米、対日、そして対国際社会という側面で、ASEAN各国にどのような「飴と鞭」を用いるのか。

その強さと内容は、今後、バイデン新政権がどのようなアプローチをアジアに対して取ってくるのかにかかっています。

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 中国とトルコに下る裁き。「好々爺」バイデンが許さぬ敵と裏切り者の罪
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け