中国とトルコに下る裁き。「好々爺」バイデンが許さぬ敵と裏切り者の罪

 

中国にはトランプより厳しい姿勢を取るバイデン

そのバイデン新政権ですが、まだ始まったばかりですので何とも言えないものの、トランプ政権以上にアジアシフトを強め、“同盟国”との連携を通じた中国封じ込めの政策をとるのではないかと思われます。

バイデン大統領は、ほとんどすべての側面でトランプ政権の政策の反転を狙っていますが、唯一継続され、かつ強化されるのが、アメリカの対中強硬策でしょう。

トランプ政権がスタートさせた貿易摩擦・貿易戦争に加え、人権問題や環太平洋の安全保障の側面からも、総合的に中国との対立姿勢を強めることになるでしょう。

国務長官に就任したブリンケン氏の姿勢や、新しく財務長官に就任したイエレン氏の言動からも読み取れるように、バイデン政権は、議会両院ですでに形成されている超党派での対中強硬論に後押しされて、より厳しい姿勢を取ることになります。

パリ協定復帰に伴い気候変動問題では、オバマ政権に倣って中国との協調を図るかもしれませんが、同じ国際協調への帰還と言っても、脱退を撤回したWHOにおいてはベクトルは正反対だといえます。

それは、中国の影響力のこれ以上の伸長を許さず、トランプ政権が批判し続けた【新型コロナウイルス感染症の中国起源説や陰謀説】を継続した対立構造を選ぶということを意味します。

そしてブリンケン国務長官が、前政権来の対中強硬策を継承し、加えて、ポンペオ前国務長官が宣言した【新疆ウイグル地区での中国共産党による蛮行は大量逆説(ジェノサイド)と認定する】との認識を共有する旨、表明したことで、バイデン政権もまた、中国に対して拳をより高く掲げ、対立姿勢を鮮明にしました。

もちろん中国からは内政干渉だと反論があり、さらに両国間の緊張が高まっている中、「中国の野望にいかに対処し、過剰なまでの迅速な勢力拡大による蛮行に対処するのか」といった戦略を早急に立てなくてはなりません。

その戦略の効果を左右するのは、欧州、特にEUとの連携がどこまで進む・回復するのかにかかっているといえます。

マクロン仏大統領、フォンデアライエンEU委員長、メルケル独首相などは、バイデン政権誕生に際し、欧米関係の修復と全面的な協調を期待するコメントをしていますが、バイデン大統領がどこまで欧州との関係修復に重点を置いてくるのかどうかについては、懐疑的な見方も強いと聞きます。

それは、オバマ政権下で始められ、トランプ政権下で顕在化した、アメリカの欧州離れに起因します。

特にトランプ大統領が明言した駐ドイツアメリカ軍の規模縮小問題と、アメリカが持つNATOにおける負担金問題に関わる欧州各国への不満の存在が底辺にあります。

ロシアからの脅威に備えるためのアメリカによる欧州防衛というのが元々の趣旨ですが、バイデン大統領やブリンケン国務長官のロシア脅威論の存在があるにもかかわらず、新政権では新たな“敵”である中国への対抗が、対ロシア政策よりも重視される傾向が見られます。

そのことから、協調を図りつつも、バイデン大統領のアメリカによる欧州離れは継続するのではないかと思われます。

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