満々と太った金正恩総書記は、人民に飢えを強いながら、自分はいかにも人民の食べる問題の解決に尽力しているかのようなパフォーマンスを取っているが、肝心の物資の供給が潤沢に行われない以上は、単なるスローガンに終わるのは目に見えている。
ところで、この金正恩総書記は、昨年11月に制定された禁煙法によって、劇場をはじめとするらゆる公共施設で喫煙すると厳しく処罰すると定め、人民に禁煙を強要した。しかし、今年のソル(旧正月)の大晦日だった2月11日にも、劇場で党幹部たちとソル慶祝公演を観覧したとき、彼の指には、たばこが挟まっており、机の上には灰皿とマッチが置かれていた。
北朝鮮の人民は、たばこの紫煙をくゆらすのが至福のいたりであると聞いたが、人民には禁煙を強いながら自分は“最高尊厳”として、雲の上ならぬ「法の上」に存在するものと心得ているようだ。国を統治する者が自ら違法をしでかしているのである。このような指導者が永年の宿痾(しゅくあ)である「食べる問題の解決」を実現できるとは思えない。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)
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