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スマホを取り上げてもムダ。子供の文章力を上げるためにすべきこと

中学入試で避けて通れないのが、記述式の問題。近年その数は増加の傾向にありますが、不得意にしている子供も少なくありません。親として、普段の生活の中でサポートできることはないものでしょうか。今回の無料メルマガ『親も子供も一緒に伸びていく』では著者の高久手はるかさんが、夕食時の母と子の会話を例に取り、子供に整った文が書けるような記憶を蓄積させる方法をレクチャーしています。

国語の記述問題が苦手な子の共通点とは

国語で本文を読むのは良くても、いざ記述問題を解答するのは苦手という子どもは多いです。そりゃそうですよね。記号を選ぶのとは違って、問題に沿うように「文章で」書かなくてはいけないんですから。

塾で教えていて感じるのは、子どもたちが「文章で書く」ということのハードルの高さです。つまり、主語、述語が最低限でも揃っていなければならないということ。

日本語の特性として、主語が無くても、述語が欠けていても、意味が通ってしまうんですね。記述問題が苦手な子にはこの「主語と述語」が整っていなくても、違和感を抱きくいという共通点があるようです。

例えば、夕食の食卓を囲んでいた時に、お子さんがカレーを食べながら「お母さん、人参」って言ったら、あなたはその一言をどう解釈しますか?

  1. カレーの中に人参を発見した
  2. 嫌いな人参を見つけて嫌がっている
  3. 明日の調理実習で人参を持っていく必要があるので、用意して欲しい

子どもの表情や口調の情報がありませんから、どの選択肢もアリです。もしも3.の意味だったら、カレーを作った後なので大慌てになりそうですが。

ここで問題なのは、子どもが「お母さん」という呼びかけ以外には「人参」としか言っていないことです。人参以外の情報がないんですね。このような情報不足な発言が幼児ならばまだしも、小学生、中学生、時には高校生でも起こります。

それが一番顕著なのがLINEに代表されるトークアプリです。まるで電話か対面での会話のように、テンポよくスピーディーにやり取りが続けられるのが、これらのアプリの楽しいところなんですが、主語・述語等が整った文章にはなりにくいんです。文章どころか、スタンプで一通りのやりとりが完結することだってあります。

今の子供たちは、これらのアプリ、通信手段がある時代に生まれています。大人と違って、主語・述語を明らかにしなくても自分の意図が「通じるはず」と思っています。これが先々どれだけ危険なのかは、社会経験のあるお父さん、お母さんならばよくお分かりでしょう。

もはや子供たち世代からLINE等のアプリを取り上げるなんてナンセンスです。

ならば、どうするか?

じれったくて、面倒くさいと感じるかもしれませんが、大人が主語と述語を補った文で子どもに話してもらえるように誘導しましょう。

「お母さん、人参」
「人参?人参がどうしたの?お代わりしたいの?」
「明日学校でいるんだよ」
「学校で人参をどうするの?(本当は調理実習だなと勘づいてもそこは隠して)」
「調理実習」
「明日、学校で調理実習をするから、人参を持っていきたいの?」

こんな調子です。最初は子どもからは単語だけで出てくることがほとんどでしょう。しつこくしたら鬱陶しそうな顔をするかもしれません。でも、ここで立ち止まったら文章力は身につきませんので、もうひと頑張りしてみましょう。

「じゃあ、お母さんは後片付けの間に忘れちゃうかもしれないから、紙に『明日、僕は学校の調理実習で使うので、人参が1本必要です。』って、書いておいてくれる?」

お母さんの自然な演技に期待しています!

これで、お子さんは生活の一場面を整った文章にできました。

このようにちょっとした機会をうまく使って主語・述語の揃った文を書くうちに、アプリでは単語だけでも、必要な時には整った文が書けるように記憶に蓄積されてきます。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 高久手はるか 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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