『しくじり先生』ディレクターが明かす、デキるカメラマンは「耳がいい」ってどういうこと?

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普段何気なく視聴しているバラエティ番組ですが、そこにはたくさんのプロフェショナルのさまざまな職人技が駆使されていることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『テレビ解体新書』では、「しくじり先生」などを担当するフリーのテレビディレクター・宮本大輔さんが、カメラマンのスゴ技を紹介。彼らはいかにして「次に笑いが起こるタイミング」を読んでいるのでしょうか。

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優秀なカメラマンは耳がいい(メルマガ第222号)

普段、収録では多くのカメラを使い撮り分けながら番組を作っています。しかし、多くのカメラがあるといえ、出演者の人数分のカメラはありません。例えば「しくじり先生」は先生1人・生徒6人、合計7人のテレビタレントを計6台のカメラを使って撮りわけています。

1カメ=先生1sカメラ
2カメ=生徒の左サイド3人
3カメ=生徒の右サイド3人
4カメ=生徒全員グループショット
5カメ=生徒横からのカメラ
6カメ=生徒ごし先生の全員をとらえたカメラ(クレーン)

といった具合に。それで、上記で言う2カメと3カメは話をしている出演者によって3sから1sにズームしたり、また逆に1sからズームアウトして3sしたり、業界用語で「よりひき」をしています。

この「よりひき」をするカメラはとても技術が必要とされます。その理由は「笑い」が起こるコメントの時、その人の1sにしていないといけないからです。

このカメラマンの技量、当然のように人によって力量が違ってきます。放送に流れることは決してありませんが、カメラワークをしくじったりしたら画面全部を管理しているサブコンから「怒号」が飛ぶことも多々あります。当然、大事な場面で、そのタレントの1sを逃していたら、ディレクターである僕も怒ります。

でも考えてみましょう。数多くのタレントさんがいる中で会話の流れから「この人だ!」と1sにカメラを合わせるのって大変だと思いませんか?特にバラエティ番組において「合わせられる人」は売れっ子カメラマンです。フリーの人も少なからずいます。

では、合わせられるカメラマンと合わせられないカメラマンは何が違うのでしょうか?

正解は「耳」です。優秀なカメラマンは「耳」がいいのです。

この耳の違いは特にバラエティの番組で重要です。丁寧に説明すると、優秀なカメラマンはタレントの会話に神経を傾けています。タレント同士の会話のやりとりから、「笑いが来るのはココだ!」と狙いをつけて笑いが起こる1sに合わせにいきます。

しかし、台本があってないような世界のバラエティ番組。「タレント同士の会話に神経を傾けろ」と言われても「笑いが来るのはココだ!」と、未来を予測するのは至難の業であるともいえます。

どうしているのか?

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