自民党の片山さつき参院議員が14日、自身のツイッターを更新し、「私は、今朝の自民党の復興本部で『私は全国区ですから、被災地も選挙区。地元のご理解得るためには、飲む位でないと。』と申しました」とツイートした。これは麻生太郎財務相の「飲んでも何てことはないそうだ」との発言を批判した中国側を意識したとみられ、自民党内で「処理水のイッキ飲みが始まるのでは」との観測が出ている。
片山さつき氏が「処理水飲む位でないと」発言
麻生氏は13日、閣議後の記者会見で、福島第一原発の処理水について政府が海洋放出の方針を決めたことについて、「科学的根拠に基づいてもうちょっと早くやったらと思っていた。飲んでも何てことはないそうだ」と述べた。
この発言を受け、中国外務省の趙立堅副報道局長は14日、定例記者会見で「飲めるというなら飲んでみてほしい」と語り、「海洋は日本のごみ箱ではないし、太平洋は日本の下水道でもない」と強い言葉で非難していた。
片山氏はこれを伝えた共同通信の記事を引用する形で、自身が自民党の復興本部で「私は全国区ですから、被災地も選挙区。地元のご理解得るためには、飲む位でないと」と発言したことを明らかにした。
処理水「飲んでみて」と中国 麻生氏発言踏まえ放出非難(共同通信) 私は、今朝の自民党の復興本部で「私は全国区ですから、被災地も選挙区。地元のご理解得るためには、飲む位でないと。」と申しました。まだ2年ありますから排出濃度は他の国内原発と同じに!#Yahooニュースhttps://t.co/Uax9pfPNml
— 片山さつき (@katayama_s) April 14, 2021
菅政権の求心力が低下する中、片山氏も“体を張って”支持率の回復に努めるのか。もし、自身で処理水を飲み、その安全をアピールできたら、習近平も驚くに違いない。
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過去には処理水を飲んで男を上げた議員も
麻生氏の発言を受け、経産省の担当者は「浄化した処理水を十分に薄めて海に放出するので、科学的には健康影響はないと考えられているが、実際に飲んだ人はおらず、飲むことの可否については原子力規制庁が検討中」と語った。TBS NEWSが報じた。
しかし、実際に福島第一原発の処理水を報道陣の前で飲んだ人物がいる。
今から遡ること10年前の2011年10月、内閣府の園田康博政務官(当時)が東京電力の担当者と記者会見を行っていた。
当時の朝日新聞によると、フリーライターが「菅さん(前首相)もカイワレダイコンを食べた前例がある。東電が飲んでも大丈夫といっているのだから、一杯どうですか。飲んでみませんか」と発言。
園田氏は「パフォーマンスと受け止めてほしくない」としたうえで、原子炉建屋に津波でたまった水で、浄化と脱塩処理したものをコップ半分ほど入れ、一気に飲んでみせたという。
フリーライターからの意地悪な要望に、園田氏は体を張って処理水が安全であることを示した。
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民主党の所属だった園田氏はその後、衆議院議員総選挙に2度出馬したが、いずれも落選。以来、表舞台に出ることはなく、2015年6月に政界引退を表明した。
ちなみに、処理水を飲んでからしばらくした後、体調を問われた園田氏は、「もちろん、何もありません」と健康であることを報告している。