頼りはロシアのみ。米ロ首脳会談前に中国が見せた「焦り」の意味

 

米ロ間の問題点

では、米ロ間には、どんな問題があるのでしょうか?

ウクライナ問題(=クリミア問題)

米ロ関係が決定的に悪化したのは、ロシアによる「クリミア併合」が原因です。

アメリカは、ロシアに「クリミアをウクライナに返せ」と要求している。さらに、「ロシアは、ウクライナの内戦に干渉するな!」と主張している。

これに対してプーチンは、「クリミアは正当な手続きを経てロシア領になった」としています。「正当な手続き」とは、2014年3月、クリミアで住民投票が行われ、住民自身がロシアへの併合を望んだという話。

ナワリヌイ問題

「反汚職基金」の創設者で、ロシア一の政治系ユーチューバー、アレクセイ・ナワリヌイさんは、刑務所にいます。アメリカや欧州は、彼を助けたいと考えている。なぜ?欧米にとって、ナワリヌイは、「とても有用な存在」なのです。なぜ?ナワリヌイはこれまで、ロシア政府高官の汚職を次々と暴露してきました。最大の暴露動画は、「プーチンのための宮殿」です。あなたも見てみよう。

プーチンのための宮殿(Дворец для Путина. История самой большой взятки)

この動画、すでに1億1,700万人が視聴しています。ロシアの人口が1億4,600万人ほどですから、1.2人に1人が見た。子供と老人以外は全部見たと言えるほどの数です。この動画で、ナワリヌイは、プーチン政権に「大打撃」を与えることに成功しました。それで、今刑務所にいる。

サイバー攻撃

ロシアのサイバー攻撃が、アメリカで問題になっています。代表的な例は、米「コロニアル・パイプライン」に対する攻撃。これによって、アメリカ南東部で、広範囲にわたって石油供給が停止する事態になりました。

アメリカ司法当局は、ロシアのハッカー集団「ダークサイド」の犯行としています。そして、「ダークサイド」も犯行を認める声明を出している。

新戦略兵器削減条約(新START)

アメリカとロシアは2011年、「新戦略兵器削減条約」を締結しました。これは、主に「核兵器削減」条約です。2021年1月、バイデン新大統領とプーチンは、この条約を2026年まで延長することで合意しました。「その後はどうするのか?」という問題があります。

スパイ交換

アメリカはロシアのスパイを、ロシアはアメリカのスパイをしばしば捕まえます。そして、首脳会談があると、「スパイを交換しよう」という話になる。

大使を戻すこと

今年3月、バイデンは、「プーチンは、殺人者だと思うか?」と聞かれ、「そう思う」と正直に答えてしまいました。それで、ロシア政府は激怒して、大使を帰国させた。アメリカも4月、ロシアから大使を帰国させました。

とまあ、アメリカとロシアには「山ほど」問題があるのです。

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