最近よく眠れない人は「コロナ鬱」かも?対処法を心理学者がレクチャー

 

【地獄への降下】

鬱病の特徴は、まず「気分の変調」があることです。

「気分が落ち込む」、「イライラする」、「何をやっても楽しく感じない」、「泣きたくなる」、「物事が悲観的に見える」、「死にたくなる」。

これらは、失恋した時の気分に近いかもしれませんね。青空の広がる良い天気でも嬉しくない。それどころか、この世が終わるかのように感じてしまう。テレビのお笑い番組を見ても、ただただバカバカしいだけ。理由もなくイライラしたり、理由もなく涙がこぼれる。鬱病の人は、そんな悲しくて暗い世界に生きています。

そして、こうした気分の変調は、当然、精神の機能や「パフォーマンス」にもネガティブな影響を与えます。「物事に集中できない」、「物忘れが多くなる」、「ミスが増える」、「頭の働きが遅くなる」、「眠れない」。

鬱病はしばしば「不眠症」を引き起こすことがあります。そして、よく眠れないと、仕事や学業にも集中できません。また、身体のあちこちに、覚えのないアザや傷があったら、それは、身体をうまくコントロールできずにいる証拠です。自分では意識していなくても、「ミス」や「失敗」が増えていいるのです。「頭の回転」も鈍くなり、簡単な問題も解けなくなったり、解くのに時間がかかったりします。まるで、速度の遅い旧型のコンピュータのようです。

こんな状態が続けば、自然に「意欲」も減退します。「やる気が出ない」、「仕事や学校に行きたくない」、「人に会いたくない」、「スマホやネットもチェックするのが面倒」、「性欲が湧かない」、といった「無気力」な精神状態と消極的な生活態度に陥り、ずっと「引き籠(こも)る」ことにもなりかねません。極端な場合は、「生きることへの意欲」すら衰えてしまいます。

こうした精神面と行動面での落ち込みや機能低下は、しばしば、「体調不良」や「身体的な病気の諸症状」を引き起こします。「心身相関」という言葉があるように、人間の精神と肉体は、緊密な相互関係にあり、一方が不調に陥れば、もう一方にも不調が現れるのです。

「頭痛」や「微熱」がある、「めまい」や「耳鳴り」が起る、さらに「動悸」がひどくなったり「胸が苦しくなる」こともあります。また、漠然とした「疲労感」を抱え続けたり、「倦怠感」が抜けないといった具合に、様々な体調不良を訴えるようになります。さらに、身体症状が「消化器系」に現れることもよくあるのです。「食欲不振」やその逆に「過食」に走ることもあります。「胃痛」「下痢」「便秘」などの症状も生じ易くなります。最近では、朝起きてみると、突然、「蕁麻疹(じんましん)」の発疹がお腹や胸の一面にできている、といった症状もしばしば報告されています。

このように、鬱という病気は、心と身体が、ゆっくりと地獄の底に降下していくような「悲劇的」なものであり、決して侮(あなど)ることはできません。たとえ軽い症状であったとしても、心と身体が「不適応」に陥っているのは確かなことですから、何らかの対策を講じる必要があります。

笑って読むうちに、いつの間にか心理学的な知恵もついてくる富田隆さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 最近よく眠れない人は「コロナ鬱」かも?対処法を心理学者がレクチャー
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け