最近よく眠れない人は「コロナ鬱」かも?対処法を心理学者がレクチャー

 

【反応性鬱病】

鬱病には大雑把に2種類あって、第一は、大脳神経系の生理学的異常が原因となって生じる「内因性」の鬱病です。ですから、「内因性鬱病」は、その人の生活や社会環境に生じる「出来事」とは無関係に、脳の中で生じた生理現象のネガティブな変化によって引き起こされます。その人の身体の内部に原因があるので、「内因性」と呼ばれます。

こうした「内因性鬱病」にも、現在では良く効く「向精神薬(中枢神経系に作用して精神機能を改善する薬物)」が開発されています。これといった理由もなく気分が落ち込む、無気力でやる気が起らない、といったような、環境の側よりも自分の神経の側に原因がありそうな鬱状態を体験している人には、「精神科」や「神経科」、そして「心療内科」の医師に相談することをお奨めします。

また、内因性かどうかは別にして、気分変調だけではなく身体にも症状が出ている場合、「心療内科」の先生方は頼もしい味方になって支援してくれるはずです。

私が学生の頃とは違って、こうした「内因性鬱病」や「双極性障害(躁鬱病)」は薬物療法により治る病気になりました。「気軽に」といっても難しいでしょうが、何とか、専門医のいる医療機関まで足を運ぶ「勇気」が大切です。

そして、鬱病の第二のものは「反応性」の鬱病です。「反応性」とは、その人の生活する「環境」の側に、何らかの「原因」となる出来事が生じて、その結果としてその人が鬱病などを発症することを意味しています。

たとえば、恋人に振られて落ち込み、食欲不振で10キロ痩せた。仕事にも行っていないし、友達とも連絡を取っていない、といったケースは「反応性鬱病」と考えて良いでしょう。

もちろん、この「内因性」と「反応性」は微妙にクロスオーバーしている場合が少なくありません。この失恋のケースでも、患者に以前から鬱の傾向があったとすれば、そうした内因的傾向が重症化する「引き金」を失恋という経験が引いてしまった、というようにも考えられるわけです。要は、どちらの条件がより強く働いているのかという問題です。

しかし、今回のテーマである「コロナ鬱」は、明らかに「反応性」の鬱病と考えることができます。それらが、新型肺炎の流行や緊急事態宣言、自粛、失業、などの社会的「原因」によって引き起こされた鬱病的な症状だからです。

笑って読むうちに、いつの間にか心理学的な知恵もついてくる富田隆さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 最近よく眠れない人は「コロナ鬱」かも?対処法を心理学者がレクチャー
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け