習近平は「最後の皇帝」になる。世界的戦略家が見た中国の“暗い未来”

 

中国の経済システム変更

トウ小平は、「韜光養晦」と言い、爪を隠し、才能を覆い隠し、時期を待つ戦略ということで中国を強国にして、それから米国と戦うとしたが、その時期が来たと習近平国家主席は判断したようである。

資本的な経済システムから新しい社会主義の形を作ろうとしている。その基盤は大多数を占める貧困層の要求に即した国の形を作り、それを共産党がコントロールすることだとした。この考え方自体は、毛沢東と同じであり、習近平は今の体制・秩序を毛沢東時代の中国共産党国家体制に戻すことを狙っている。

このため、集団指導体制から独裁体制にして、経済的な理由から反対する江沢民一派などの不満分子を徹底排除して進める必要になっているようである。

毛沢東の思想を現実的な形にしたのは習近平であると歴史に刻みたいのであろう。

このため、市場経済から完全な共産党統制経済にして、習近平に盾突く人たちを取り締まる方向で対応するようである。

もう1つ、現時点、人口減少であり、人口を増やす必要があるが、教育費が高騰していて、子供を生まないような雰囲気であり、そのため、教育費を下げる必要になっている。

教育費で一番お金がかかっているのが、塾や学習教材などであり、その費用の低減化のために、塾や教育資材の企業を非上場にして、かつ、政府の指示を徹底して低価格にさせるようである。当然、企業は、黒字化が難しくなる。

IT企業が、政府の指示を無視して米国市場へ上場するのも、取り締まる。人民元のデジタル化のために、仮想通貨を取引するIT企業を取り締まり、またIT企業には中国や他国のデータが集まり、それを米国に見られるのを恐れているようである。

このような中国共産党の意向で、企業経営に介入することで、企業利益が減少すると、上海総合指数も香港ハンセン指数も大幅な下落になり、人民元も下げた。その分、仮想通貨が上昇した。

下落が大きかったのは、教育株、ヘルスケア株であり、その他では中国の不動産開発大手の中国恒大集団の危機が深刻化で不動産株も下げた。

この下落でアルケゴスのようなファンドの破綻も心配されたが、次の日に国家ファンドが買い上げて、株価を上げた。

逆に米国は、米国内への中国企業の参入で、米国のデータが中国に取られるのを警戒している。中国企業の経営状況も水増しなど、多くの問題点があり、米国市場から中国企業を追い出し初めている。

というように、デカップリングの次の段階にきて、中国が市場経済とは違う経済システムになり、普通の意味での株式市場を有した資本主義とは違う経済システムになったようである。

国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

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