現在の日本では、65歳以上の6人に1人がかかると言われている「認知症」。もし、実の親や配偶者の親が認知症になった場合、介護する夫婦にはどんな問題があるのでしょうか? 今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では著者の真井花さんが、同居している義母の実話をもとに、介護をする上での「最初の関門」について語っています。
覚悟するしかないこと
さて、本日は最近深く思うことのお話。
同居しているオットの母親が認知症になりました。まあ、前フリでも何度か書いていますけど、これがまた大変で。
- 日時が分からない
- 作業手順が覚えられない・忘れてしまう
- 記憶違いが多い
- 自分の非は絶対に認めない
- すぐにバレるウソをつく
- 激高しやすい
- 基本的な身仕舞いをめんどくさがる
などなど。いや~、これで要介護1ですからね。
このくらいが家族にとって一番辛いといいますが、もっと悪化している方もたくさんいらっしゃるのに、それを日常的にケアしているって…すごいわ~、プロだわ~。
義母は、結構難しい性格でしたが、それでも
- 以前はこんな風じゃなかったよなあ…
と思ってしまうことがあります。まして
- 優しかった
- 嘘なんかつかなかった
- キチンとした人だった
- 穏やかだった
- 好奇心旺盛な人だった
- アクティブだった
など、肯定的な性格や行動が失われた場合には、どうしても悲しく切ない気持ちになってしまうと思います。
それでも、現実はこれから先どんどん悪くなるしかないわけなので現状起きていることは
・直視するしかない
んです。ここで
- どうしてこんなことに(;。;)
とか嘆いても無駄なんですよね。キツい言葉ですが、ホントに無駄です。多分、先の長い介護において、ここがひとつめの関門なんじゃないかと思っています。ここは
- ああ、もう別人格になったんだな
と思うのがコツなんだろうと思います。これは逆に言えば
- あなたの知っている親はすでに(人格的には)死んだ
ということです。これは、結構受け入れ難いお話です。姿形も声も以前と一緒なのに人格は違う。理性では分かっていても、感情的に割り切れない気持ちになると思います。そこをなんとか乗り越えるしかないわけですよ。
冷静な状態、あるいは他人の親の話だと、
- ま、そりゃそーだよね
とさしたる困難もなく、理解できると思います。これが自分の親だとなると、これはソレナリ難しいんです。
ただ、介護で自分の親の認知症が進んでいくのにもかかわらず介護に関わらないという人たちは
- 親が別人格になっていく事実を受け止められない
のだと言います。要は、今目の前の現実を認められず、目を背けてしまうんです。さらに悪いことに、(血の繋がっていない)配偶者の方が冷静だったりすると、介護への関わりに温度差ができてしまい
- 夫婦関係に亀裂が入る
ことになりかねません。温度差って…言葉がキレイすぎますかね。つまり
- 認知症になんかなっていない
- 老化にすぎないんだから、普通に生活できる
- 認知症じゃないんだから自分が世話をする必要がない
という態度を取るわけです。で、結果配偶者に丸投げ、いや丸押しつけ。配偶者激怒。
いかにもありがちな話すぎて、なんて言ったらいいのやら( ̄∇ ̄) 介護をきっかけにして、配偶者との仲まで険悪になってしまうんですね。
ここはもう現実を直視するしかない場面です。感情で認めがたくても、事実は動きません。あなたの知っている親は、もういないんです。
覚悟をするところから、介護は始まるんだと思います。
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