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まるで“歩く既得権益”。世襲議員の「食い物」にされる日本国民の不幸

「選挙に行ったところで自分の一票だけでは日本が変わるはずもない」との思いを抱いている方、今すぐそのような考え方は改めたほうがいいようです。今回のメルマガ『神岡真司の人生逆転の心理術』では、法人対象のモチベーショントレーニングや組織活性コンサルティングなどで活躍するビジネス心理研究家の神岡真司さんが、「低投票率と不祥事議員との密接な関係」を分かりやすく解説。さらに日本中に世襲議員が溢れている理由を詳説した上で、投票所に足を運ぶ重要性を強調しています。

※本記事は有料メルマガ『神岡真司の人生逆転の心理術』2021年10月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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なぜ「選挙の投票率が低く」「世襲議員」が多いのか?

皆さま、こんにちは。「人生逆転の心理術」をお届けするビジネス心理学講師の神岡真司です。今回のテーマは「なぜ投票率が低くなるのか?」と「世襲議員が多くなる理由」について取り上げたいと思います。来たる10月31日(日)は「衆議院議員選挙」の投票日です。今回のメルマガをご覧になった方が、「やはり投票には行かなくちゃ!」と思っていただければ幸いと思い、本稿をお届けする次第なのです。

さて、ご承知の通り、国政選挙や地方選挙の投票率は、昔と比べ、下落傾向が顕著といわれます。たとえば、今行われている衆議院議員選挙の戦後の投票率推移を見ても、1946年から1990年までの18回の選挙では、投票率も概ね70%台が多かったのです。ところが、1993年以降は、これまで9回行われてきた総選挙ですが、一度も投票率が70%台に載ることなく、60%台、50%台が常態化しているのです。たとえば、前々回の2014年の総選挙では52.66%、前回の2017年は53.68%の低投票率だったのです。かろうじて有権者の半数の人が投票している──とはいえますが、あとの半数近くの有権者は投票していないのです。

このことは、80年代後半のバブルが弾けたこととも影響しているといわれます。なぜなら、日本社会の90年代はバブル崩壊の後遺症に苦しみ、90年代後半に金融危機を迎え、以降デフレ経済に陥り、「失われた30年」とも呼ばれる時代に入っているからです。賃金も上がらず、税金や社会保険料が上がって、可処分所得(実質使えるお金)が減る一方の時代だったわけです。現在40代未満の人は、日本のデフレ経済しか知らない世代ともいわれるゆえんなのです。こうした閉塞感が常態化すると、政治への希望も期待も薄れてしまうでしょう。少子高齢化で将来の年金受給にも不安が増しています。

格差や貧困が当たり前のように語られる時代になっています。人々は、どうにもならない、あきらめの境地になっていくわけです。投票したって何も変わらないだろう──というシラケた人達が増えるのも当然というわけです。

「リンゲルマン効果」がはたらいている?

こうした背景から、投票に行かないのは、「自分の一票ぐらいで政治なんか変わらないよ」という諦観が原因──と多くの識者は指摘します。実際、「投票しない理由」のアンケートにおいても、これが理由の第一位になっています。そして、「どの党に投票してよいのかわからない」「投票したい候補者がいない」などの理由がアンケート上位には続きます。

社会心理学では、こうした有権者の態度を「リンゲルマン効果」と呼びます。フランスの心理学者リンゲルマンの実験から名づけられた、社会的手抜き現象のことなのです。運動会の綱引き競技で、みんなが必死に綱を引いている時、必ず何人かは、テキトーに綱を引き、力を抜いている人がいるはずですが、人数が多いと「自分一人ぐらい綱を真面目に引かなくたって、わかりゃしない」という気持ちがそうさせるのです。自分一人ぐらいの投票では、何も変わらない──というのと同じ理屈なのです。

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「不祥事」が絶えない理由とは?

ところが残念なことに、これと同じ現象が、選ばれる側の議員のほうにも生じてしまうのですから、看過できないものがあるはずです。

衆議院議員は現在465人(選挙区289人、比例区176人)ですが、任期中にカネ絡みの事件、不適切言動などの不祥事が絶えないのは、「議員活動なんかテキトーにやっていても、有権者にはわからない」という傲慢な心理がはたらくからに他なりません。これも「リンゲルマン効果」でしょう。人数が多いので、マスメディアの監視の目も潜れるからです。それでもたまたまバレたら、秘書のせいにしたりで大慌てになります。また、「自分が頑張らなくても、誰かが頑張るだろう」という他人任せの無責任な「傍観者心理効果」すらはたらかせていることでしょう。

要するに、「国民に選ばれし者」「国民の代表」といった重責感や緊張感が、当選したとたんに消え失せてしまっている──としか思えないわけなのです。政権交代が起きかねない──といった緊張感や危機感がなければ、こうした議員たちも堕落するばかりなのです。

「世襲議員」がなぜ跋扈するのか?

ところで、なぜ与党議員を中心に、国会には「世襲議員」が多いのでしょうか。もちろん、国会議員だけでなく、議会開会日数が極端に少なく(年間80日以下)、報酬がべらぼうによい「怠け者の楽園」と揶揄される日本の地方議会も、世襲議員が多数跋扈しています(外国の地方議員は概ねボランティア報酬で議会も夜開かれるなど、給与所得者が住民代表の議員を兼業するケースが少なくない)。

理由の第一に挙げられるのは、日本の国会議員や地方議員が、世界一の高待遇だから──なのです。たとえば、国会議員の年間報酬は、歳費が1,561万円、期末手当が635万円、無税で何にでも使える文書通信交通滞在費が1,200万円、法律を作らなくてももらえる立法事務費が780万円の合計で4,176万円(月額平均348万円)になります。こんなに報酬が多いと国民の批判的な目が気になるので、とにかく名目を細かく分けて、税金からの高額報酬を支給されている──というわけなのです。さらに国民一人当たり250円の税金から、議員一人当たり4,400万円に相当する政党交付金が所属政党に配られ、その所属政党から分け前として1,000万円以上が議員に転がり込みます。

したがって国会議員の報酬は、合計すると最低でも年収5,000万円以上となるわけです。他にも企業や団体の役員報酬や株主配当金などの収入も期待できます。おまけに、奴隷のようにコキ使える3人の公設秘書の年間合計給与2,400万円から、議員の政治資金団体に数百万円の寄付を強要する国会議員も少なくない──というのですから、まさしく銭ゲバ状態なのです。他にも、利権の口利きのために政治献金(団体献金と、団体の限度額を超えた分を偽装するための個人献金)を集めますから、国会議員は政治活動と称していろいろ儲かるのです。06年に「週刊現代」が報じて発覚した事件では、小沢一郎衆院議員の政治団体「陸山会」がゼネコンから得た6億円余の政治献金で土地を購入し、小沢議員の個人名義で登記していたことが問題になっています。議員への直接献金は禁じられていても、政治資金団体経由であれば、個人資産の形成も容易に図れる構図が見て取れるわけです。

また、国会議員への現物支給では、議員会館の家賃・電話・水道光熱費がタダです。赤坂などの都心の一等地にある議員宿舎は、3LDKがたったの8.4万円の家賃で住めます。JRグリーン車は乗り放題で、地元との航空券チケットは月に4回分支給されます。なお、新規の議員年金は廃止されましたが、勤続10年の最低水準で月額29万円からの年金をもらっている議員もいます。このように日本の国会議員は、アメリカの上下両院議員(議員への直接報酬は2,000万円程度)よりも、はるかに恵まれた世界一の高待遇ですから、議員は何とか自分の子息などを、自分の後継者にしたいと望みます。せっかく歴代議員たちが、お手盛りの議決で高待遇の身分を作り上げてくれたのですから、その恩恵をいつまでも自分たち一族としても享受したくなるわけです。国会が「世襲議員」だらけになる理由の第一がこれなのです。

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「3バン」というオイシイ継承財産!

もう一つの原因として、「世襲」は、当選しやすい──という理由もあるでしょう。選挙は「地盤(利権にまみれた地元後援会組織)」「看板(地元での先代からの知名度)」「カバン(政治資金団体の資金)」の「3バン」が当選に重要な要素といわれます。

本来「政治資金団体」は、当該議員が引退したら、資金は国庫に帰すべき性格のカネでありながら、世襲候補は驚くべきことに、先代の「政治資金団体」を無税でそのまま継承出来ます。与党議員を中心に、これまでこうした抜け道だらけでザル法の「政治資金規制法」を作ってきたため、「政治とカネ」の問題はいつまでたっても不透明なままなのです。まずは、利権口利きの活動を禁止させ、まともな政治活動に取り組ますためにも、「合法ワイロ」と呼ばれる「政治献金」だけは、一切禁止すべきでしょう。

もともと政党交付金導入時(1994年)に、近い将来には団体献金をやめると約束したにもかかわらず、未だにやめていないのですから、国民への背信以外の何物でもないのです。米国で銃乱射事件が頻発し、国民が銃規制を求めても実現しないのも、全米ライフル協会という業界団体が、ロビー活動で「政治献金」を議員にバラ撒いているからです。日本は反面教師にすべきでしょう。

「ザイアンスの法則」が世襲候補を当選有利に導く!

ところで、国会が世襲議員だらけの「世界の奇観」を呈しているからといって、「それが悪い!」とは一概に断罪できません。選挙区の有権者が選んだ民主主義の立派な結果に他ならないからです。

しかし、当選に必要な「3バン」が圧倒的に有利にはたらく、こうした選挙のメカニズムを見ていると、けっして公平とは思えないのです。なぜ、有権者は、「世襲候補」に甘いのでしょうか。それは、アメリカの心理学者ザイアンスが解き明かした「ザイアンスの3法則」に適っているから──といってよいでしょう。

つまり、世襲候補は、先代と顔つきが似ていたり、苗字が同じだったりで特徴的なのです。そのうえで、こうした世襲候補に地元の人たちが単純接触を繰り返していると、人々は親近感を抱きやすい──ということなのです。世襲候補の人物像も、先代とセットで語られますから、それだけでも、他の新人候補と比べ、親近感を抱きやすいわけです。「誰に入れてよいのかわからない」といった有権者には、世襲候補は地元で長年やってきた先代政治家の延長線上で捉えやすい存在でもあるでしょう。よく知らない候補者に一票を投じるよりも、「慣れ親しんだ世襲候補に入れてしまえ 」といったお気楽な気持ちに有権者をさせるのかもしれません。

いずれにしろ、必ずしも世襲候補者が有能であるとは限りません。もっと適切な能力を有した候補者が他にいるかもしれないのです。政治に緊張感をもたらすうえでも、国民の投票行動は重要でしょう。世界一待遇のよい国会議員を選ぶのですから、その報酬に見合った候補者なのかどうか──を慎重に見極めていきたいものなのです。来たる10月31日(日)には、ぜひ、あなたも投票所に足を運んでください。政治に緊張感をもたらすためにも、それはとても大事な行動だからです。

(※本記事は新創刊の有料メルマガ『神岡真司の人生逆転の心理術』2021年10月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。10月中のご登録で10月分の全号が無料で届きます)

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image by: yoshi0511 / Shutterstock.com

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ビジネス心理研究家。日本心理パワー研究所主宰。法人対象のモチベーショントレーニング、組織活性コンサルティング、心のパワーアップセミナーなどで活躍。

著書に『思い通りに人をあやつる 101の心理テクニック』(フォレスト出版)、『苦手な相手に勝つ実践切り返し術』、『必ず黙らせる「クレーム」切り返し術』(日本文芸社)、『効きすぎて中毒になる 最強の心理学』(すばる舎)など多数。

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