15年後だって構わない。Facebookが「メタバース」構築を目指すワケ

 

また、アバターはコンピューターで造られたCGなので、性別や年齢、それこそ種族を超えて(なりたければモグラでもうさぎでも)なんにでもなることができるわけです。最近一部のスノッブな人たちの中で話題になっているVR CHATも簡単なメタバースの一つで、現実の世界の年齢や性別、人種などを超えて自分の「好きな自分になれる」という魅力で、多くの人が毎日サインインしています。

通常のチャットや簡易的なメタバースでは世界は平坦で移動できる範囲も少ないですが、本格的に作り込まれたメタバースでは現実の街がまるごと一つ作り込まれたり(最近はバーチャル原宿など有名な場所をオンラインに作るというのも流行っていますね)それこそ果てしない世界が仮想空間に広がっていくこともそれほど難しいことではないのです。

メタバースを持っているメリット

でも、メタバースを作るのはとても大変なことです。アクセスするための機械(oculusをはじめとする3Dゴーグルと呼ばれる仮想現実に入る機械)の現実世界での生産や普及、さらに3D世界の作り込みやさまざまな施設、たとえばコンサートホールやダンスフロア、ゴルフ場などの作成、いろいろな要望を満たせるアバターも作らなければいけませんし、膨大な量のデータを記録するストレージも必要になります。まさにメタバースを運営していくことは「世界を運営する」のに等しいのです。

では、そんな面倒なことをしてなんで嬉しいの?と思いますが、実はそれに投資するだけの価値もあります。まずは極端なことを言うとメタバースの土地はざっくりいうと「全て運用者のもの」です。人が集まれば町になり、町が大きくなれば大都市になります。

メタバースなのでどんなところでも自由自在にワープすることはできるとしても、やはりその中でお店やオフィス、部屋を「所有」したくなるのは人間のサガというもの。では実際にその土地を売っているのはだれか?といえばそれは「メタバースの所有者」なのです。

また、メタバースで過ごしている時間が増えれば自分のアバターを改造したくなるでしょうし、そのアバターに着せるファッションも変えたくなるでしょう。当然「遊びとして」の乗り物や、素敵な建物を作りたくなることが想像できますが、それをメタバースに持ち込むためには「なんらかのメタバース所有者の許可」が必要になりますし、当然その流通にはマージンが乗っていることになります。

そしてこれが一番ちょっと怖いことですが「その人がメタバースでどのような行動を取ったか」はメタバース所有者に筒抜けになるのです。今でも私たちはインターネットに接続している間は自分の行動がいろいろなデータプロバイダに筒抜けになっています。ただ、そこには「スマホの電源を切る」という選択肢が残っていて、最悪(最高?)インターネットとは無縁の場所に行けば、そのトラッキングからは逃げることができます。

ただ、メタバース上では逃げ道は「ゼロ」です。メタバースの運営者が望めば、ある人がいつどんな人とどういう話をして、何を欲しがっていて、どういう行動をしたのかを全てトラッキングすることができます。ちょっと大袈裟に言えば「神の視点」をメタバースを作った人は得ることができるわけですね。

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