子育て世帯への子供1人当たり10万円給付は、公約に掲げた与党公明党が強く主張し実現。その支給方法が現金5万円と額面5万円のクーポンでの分割支給となったことに怒りを表すのは、消費税増税時に「恩着せがましい「軽減税率」を「天下の大悪法」と断言」したメルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんです。クーポンでの給付のための予算が約1000億も計上されることに、現金ならば100万人の生活困窮者に10万円を給付できる額と呆れ、異を唱え現金給付を表明した自治体への政府の対応にも注目しています。
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2.0のこと
実際、こういう人は多いのではないだろうか。「自民党には確かに票を投じたが公明党を支持した覚えはない」。
確かに最近の悪法はこの公明党に由来するところが大きい。記憶に新しいところで言うと、消費税の軽減税率がそうである。一見、消費者(弱者)に配慮しているようで実際は中小店舗等の会計処理のあり方をただただややこしくしただけで結果それらの経営者(こちらもやっぱり弱者)を圧迫することとなったのはつい2年前のことである。しかも実際の税率は言葉通りの「軽減」ではなくてただの「現状維持」であった。
さらに言うと、国民の大多数は一律10%の消費税率を「已む無し」と受け入れていたにもかかわらず、である。自分は当時これを「天下の大悪法」とはっきり糾弾した。
その「天下の大悪法2.0」が今まさに行われようとしている。言うまでもなく18歳以下の子供への10万円給付のことである。これもどういう訳だか、5万円は現金で、残り5万円分はクーポン券でという、わざわざややこしいだけの手法にての実施となりそうなのである。因みにクーポン券の印刷・管理等には予算段階で1000億円近くもかかると言う(ということは下手をすればこれ以上)。
これも考えてみれば当たり前である。額面5万円の金券である。町内会の祭りの抽選券のようないくらでも偽造可能なクオリティではとてものこと駄目だし、郵送の方法も書留に準じたものでなければならない。実際現場でオペレーションに当たる地方自治体もたまったものではない。彼らは既に3回目のワクチンの手配で手一杯である。
それにしてもごく普通の常識というやつで、この1000億円があればさらに100万人の困窮者等に10万円が支給できるとは考えられないのだろうか。
財務相曰く「過去の類似事業と比べて(この1000億円の出費は)過大な水準ではない」とのことだが、一体「過去」のどの時代に「類似」の大コロナ禍が存在したというのだろうか。2年も経って未だ平時のぼんくら脳ではとてものこと話にならない。
一部の賢い自治体においては全額現金支給という、国の失策を打ち消す(これをネガティブ・フィードバックと呼ぶ「先週のテーマより」)ような方針に転換することをいち早く表明しているところもある。これを「何が何でもクーポンで」と、国がごり押しするという暴挙に出るかどうか注視したいところである。
現国会における第一党は確かに自民党だけれども、言うまでもなく政権与党ということになれば自民公明両党ということになる。公明党の失策は自民党の失策と同義であり、また同罪である。この10万円(というより5万円プラス5万円分クーポン)給付問題、政権発足直後だからといって、ご祝儀相場などで済ます訳にはおよそいかない重要政策だと思うのだが、どうだろうか。
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image by:Picturesque Japan / Shutterstock.com