「トイレに避難しろ」竜巻警報後、Amazonの指示に殺された従業員

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アメリカで同時多発的に発生した竜巻の被害が大きく報じられていますが、イリノイ州にあるAmazonの倉庫でも、6名もの方が命を落とした事実をご存知でしょうか。そんな日本の大手メディアがほとんど報道しない被害を取り上げているのは、人気ブロガーのきっこさん。きっこさんは今回の『きっこのメルマガ』で、犠牲者の遺族がSNSに掲載した批判をきっかけに、次々と浮かび上がったAmazonの許しがたい行為を誌上で紹介するとともに、その被害を「人災」と指摘する声が出始めている状況を伝えています。

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米アマゾン社の経営方針

現地時間の12月10日夜から11日にかけて、複数の竜巻がアメリカ南部や中西部の6州を襲い、日本時間14日の時点で、すでに80人以上の死亡が確認され、100人以上の行方不明者の捜索が続いています。このニュースは日本でも日々報じられているので、ここでは詳細は割愛しますが、日本でほとんど報じられないのが、竜巻の被害に遭った米アマゾン社の倉庫の問題です。

イリノイ州エドワーズヴィルにある米アマゾン社の倉庫は、10日の夜8時27分、最大風速が時速240キロという巨大な竜巻に襲われ、サッカー場ほどの大きさの倉庫の屋根は崩落し、厚さ28センチのコンクリートの壁が倒壊し、従業員6人が死亡しました。この災害を受けて、同社の広報担当者は、すぐに追悼のコメントを出しました。

しかし、死亡した従業員の1人、クレイトン・コープさん(29)の妹レイチェルさんが、米アマゾン社を厳しく批判する以下のメッセージを自身のフェイスブックに掲載したのです。

アマゾンは生産性しか気にしていない。みんなそれを知っているはず。アマゾンが生産性より人命を大切にしていれば、こんなことは起きなかった。こうなったことに対して、アマゾンは責任を取ってほしい。これをきっかけに、企業が従業員の命を真剣に考え、人間を数字以上のものとして扱うようになってほしい。

死亡したクレイトンさんの母、カーラさんは、10日の夜8時過ぎ、ニュースで竜巻がエドワーズヴィルのアマゾンの倉庫に接近していることを知り、すぐに息子のクレイトンさんに電話をして「竜巻が倉庫に向かっているのでシェルターに避難したほうがいい」と伝えたと言います。しかし、クレイトンさんは「まずは同僚に危険を知らせる」と言って電話を切ったそうです。

倉庫では、夜8時6分と16分に警報が鳴りましたが、カーラさんが電話をしたのは、8時6分の最初の警報が鳴った後だと言います。この電話のやり取りの内容から、妹のレイチェルさんは「兄や他の従業員たちは、最初の警報が鳴った後も、避難指示は受けていなかった。この時点で避難指示が出ていれば、兄は死なずに済んだかもしれない」とコメントしています。

このレイチェルさんの批判を受けて、米アマゾンは「竜巻は警報の直後の8時27分、信じられないほどの速さで倉庫に到達した。しかし、我が社のチームは驚くほど迅速に対応し、できる限り多くの従業員が屋内退避場所へ辿り着けるように的確な指示をした」との声明を出しました。しかし、実際に携帯電話で緊急警報を受信した従業員の多くは「トイレに避難するように」と指示されたというのです。

一命を取りとめたデイヴィッド・コシアックさん(26)は「トイレに避難するように指示されたので、少なくとも2時間半はトイレの中にいました。建物の中を列車が通過するような轟音がして、トイレの天井のタイルが飛び散りました」と証言しました。しかし、別の場所のトイレに避難するように指示されたトラック運転手のオースティン・マキュアンさん(26)は、そのトイレの中で竜巻に巻き込まれて死亡したのです。

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