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絶望的な魔都「北杜市」の恫喝に屈せず。被災者いじめ事件の報告書に記された驚愕の事実

以前掲載の「いじめ自殺未遂に開き直り。教育委の呆れた逆ギレと逃げた北杜市長」をはじめとする記事で、当時の山梨県北杜市長や同市の教育行政および加害保護者や地元紙の異常ぶりを告発してきた、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。そんな今なお被害者が苦しむいじめ事件の第三者委員会による記者会見が先日開かれ、驚くべき事実が明らかになりました。阿部さんは今回、自身のメルマガ『伝説の探偵』でその内容を詳しく紹介。さらに彼らが発表した報告書を「画期的なもの」として高く評価しています。

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「山梨県北杜市被災者いじめ事件」公表された第三者委員会報告書に書かれていた驚くべき事実

2021年11月4日、山梨県北杜市被災者いじめについて調べていた第三者委員会と北杜市の会見が山梨県弁護士会館で開かれた。

被害保護者と私がその後すぐに記者会見を行ったわけだが、この一連の動きはニュースとなり記事などで確認できるようになっている。

伝説の探偵ではその経緯をその都度この誌面で報告している。

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さて、今回は、第三者委員会の報告の一部内容について言及したい。

ちなみに、今のうちはこの報告書の公表版をダウンロードできる。220ページもある報告書であるため、じっくり読むとより詳しい内容がわかるだろう。

● 「北杜市いじめ問題専門委員会調査報告書(公表版)」 北杜市教育委員会HP

委員会は一度解散した

以前に『伝説の探偵』で触れたが、北杜市被災者いじめでは、北杜市教育委員会が、黒塗りにした委員会メンバーを示し、教育委員会が信用できる人ですから大丈夫ですと被害者側に言って、半ば強引に委員会開催をしようとした。

平成29年3月、文部科学省が発行した「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」にはこのように書いてある。

被害児童生徒・保護者に対して、調査組織の構成について説明すること。調査組織の人選については、職能団体からの推薦を受けて選出したものであることなど、公平性・中立性が担保されていることを説明すること。

つまり、北杜市教育委員会は、被害側に十分な情報を与えずに強引に第三者委員会を形成し、便宜上の同意を何とか得れば勝手に進められると考えていたのである。

しかし、この段階ではすでに私が被害側の依頼を受けて対応に入っていた。

そこで、私は北杜市役所で行われた会議に、被害保護者と共に出向き、旧第三者委員会に、第三者委員会設置の経緯に瑕疵があり、委員個々人のお人柄などは第三者委員会における中立公平性の担保にはならないので、重大事態ガイドライン違反状態を、被害側として容認することはできないと意見したのだ。

その実、このように被害側の説明を省き、ガイドライン違反でも平気で進める第三者委員会は腐るほどある。私個人としては、仮に自分が委員であったらこの不正義にも立ち向かうのにとも思うのだが、そうではない人もたくさんいるのだろう。

しかし、この旧第三者委員会は気概があり、特に委員長であった弁護士さんは、その場で解散を決めたのだ。

その上で、委員については再任をしてもらい、被害側推薦の他県の専門家が2名加入することになったのだ。

これは、北杜市教育委員会が第三者委員会の設置に問題があったことをしっかりと意味することを示すこととなった。

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学校はいじめを認めず、家庭の問題だとしようとしていた

第三者委員会がコロナ禍の影響もあって長期間調べた結果には驚くべき事実が書かれていた。

被害者へのいじめは、転校からすぐに起きている。実にいじめは小学3、4年生のころから起きており、現在でもいじめは継続していることから、長期間に及ぶいじめを受けていることになる。

いじめは、無視や悪口などの他、ドッジボールの標的にするなど暴力的なものも含まれる。証拠がないので判然としないというものの中には、加害者らが自宅に入り込み被害者に馬乗りになって首絞めゲームをしたということもあった。

実際、小学3、4年生は学級崩壊しており、教師に信頼感を持てない状況もあったという。

また本件いじめは被害者がリストカットをしたことから発覚しているが、この原因に対し、当時の中学校は、家庭の問題だと強く主張していた。ところが、専門機関が当たっても、そうした事実はなかったのだ。そして、家庭の問題ではないことが報告されている。しかし、これをしっかり受け止めることはなく、対応しなかったわけだ。

さらに、校長のメモという扱いではあるが、報告書が存在しているが、ここでも過剰なまでに被害者の問題は家庭の責任だという根拠のないことが書かれている。

そして、この根拠のない中傷は、第三者委員会の報告書によって虚偽であるとされている。

そもそも、校長による報告書は開示請求により第三者委員会設置の前に被害側は手にしていた。その開示請求を受けて、校長が発した言葉は「まさか開示されるとは思わなかった」であったという。つまり、被害側がきっと目にしないだろうと、架空のストーリーを創作して報告したのであろう。

いずれにせよ、悪質な行為である。後日、この校長は何の前触れもなく、被害者宅に謝罪をしようと思って訪問したということであるが、非常識のみならず自分善がりな行動であったはずだ。

家族すら差別を受ける

被害保護者によれば、家族も差別的扱いを受けている。被害家族は、東日本大震災の被災者であり、自主避難で山梨県北杜市に転居したが、保護者の集まりで、その中心的人物から「(震災で起きた津波で、スポーツに使う道具が)流されたんじゃできんな」と軽口を叩かれたり、一人親であることから、「男のバイクの後ろに乗っていた」など事実ではない中傷を受けていた。

この中傷の中心が、いじめ加害者の保護者らでもあるが、インターネット上にも誹謗中傷を書き込んで警察沙汰すら起こしているのだ。

さらに、同居していた祖父母も嫌がらせの対象とされ、ほぼ村八分の状態を受けている。こうした地域環境で、いじめが起き、さらに長期化し、学校や教育委員会が隠ぺいに走ったのが本件において、最も悪質な点でもあると言えるだろう。

第三者委員会への圧力

およそこの内容は報告書から削除されることになろうが、第三者委員会の委員が11月4日の記者会見で明らかにした中には、中間報告を含めいじめの容認すべき内容の説明に、北杜市教育委員会を訪問したところ、教育委員に当たる人物が、机を叩き、いじめは認めないということを強く主張したという。

ただその主張は、いじめ防止対策推進法に沿ったものでもなければ、教育的観点からみても根拠のあるものではなく、ただ単に、第三者委員会を威圧によってコントロールしようとしたものであったのだ。

このような圧力を受けながらも、よくぞ不当な威圧に負けないでいてくれたと思うが、そもそもの点で、このような事があってよいのだろうか。

また、旧第三者委員会構成において、委員の一部が辞退しているが、これについても中立性が担保できないことが明らかになっており、そもそもの人選においても、第三者委員会をコントロールしようとしていたと思われても仕方のない事実が浮き彫りになっている。

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現在の北杜市教育委員会は

この山梨県北杜市被災者いじめに関する第三者委員会の報告書は200ページを超えるもので、とても濃い内容のものになっている。

これを受けて、北杜市教育委員会も11月4日の記者会見では、しっかりと受け止めて二度とこのようないじめが起きないようにしたいと言い、さらに、いじめ条例案からさらに進めて、「常任の調査委員会」を設置する考えを示している。

常任の調査委員会については多くの問題があるので、設置するにしても十分な体制の確保が必要であろうが、私は強い懸念がある。

それは、記者会見で答えていた教育長が、テレビカメラの前では「被害者の方、保護者の方には大変申し訳なかった」と頭を下げたが、被害保護者は私の隣に座っており、記者会見場には居たのである。

さらに対応していた教育委員会の事務方も記者席に座っており、会見場は学校の教室より少し大きいくらいの場所であったから、しっかりと顔を合わせている状態であったのに、誰一人として自ら頭を下げには来なかったのである。

これは世間には反省しているふりをして、その実、被害者にも被害保護者にも謝る気はなかったのではないかと思われても仕方がない行動だと言えるだろう。

今回の第三者委員会報告書には、いじめの予防策からSCの活用、QUテストの活用、酷いいじめを受けた被害者の多くが成っている思われる複雑性PTSDに対して有効なトラウマインフォームドケアについての記載など有効な提言がなされていた。

また、極めて有効なチェックシートなども添付されていたのである。

しかし、このような態度を見れば、結局、この場さえ切り抜ければいいとでも思っているのではないかと思えてしまう。

そして、現実に、本件の被害者は現在高校性であるが、中心加害者の1人が同じ高校に入学してしまい、いじめ行為を受け続けているのだ。

いじめは認定され自傷行為との因果関係もあるとされた事実

現在、いじめ加害者らを含めその保護者ら周囲は、未だにいじめがあっても、そんな大きな問題ではないということを言っていると聞かれるし、現実に、高校で中心加害者と共に、被害者に嫌がらせをしている取り巻きもいる。

ハッキリ言って、どこまでも性根が腐っているといると言えるだろう。第三者委員会については、圧力をかけられようが、会議室を貸さないなどの妨害を受けようが、いじめは認められ、加害者らがしてきたことの半分以上が認められたのである。

さらには、学校の対応は不十分、北杜市教育委員会の対応も不十分だとされたのだ。

きっと、まじめにやっている他の地域の学校や教育委員会がこの報告書を手にしたら、とんでもない教育機関だと怒りを感じるであろう。

そして、日本中、 多くの国民が、東日本大震災で被災し自主避難してきた家族にこのような仕打ちをし、未だにあっけらかんと加害行為が悪いことなのだと認めようともせず、謝ろうともしない醜悪な人間に怒りを持つだろう。

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編集後記

今回取り上げた第三者委員会の調査報告書は、今後のいじめ対策や第三者委員会の在り方の指針を作るような極めて画期的なものになっています。

冒頭にも書きましたが、ぜひとも、特に専門家の方々にはご一読していただきたいと思っています。公表版は様々な影響を考慮して、最終案などから削除された内容もあるとは思いますが、この視点は的を得ているものが多いです。

特に、いじめの被害が長期化深刻化すると、もはや学校教育を超え、治療的アプローチが必要になることで分野として、教育分野だけでは対処ができないことが明確に示されています。

私は本件を通じ、これまで疑問を持っていたことが多く腑に落ちたところがあり、現状での相談対応や被害者との関り方が進化したことを実感しています。

世の中が常に進化するように、問題も進化します。そして、それに携る者はその進化に対応するため常に努力をするわけです。

もしも、今広がりつつある教育機関によるいじめ対策が、真の意味で進化していれば、いじめで子どもたちが、これほどまでに疲弊することもなかったのではないかと思ってしまうところがありますが、確かに頑張っている自治体もあるわけです。

頑張って実績を上げている自治体や教育委員会にはそのまま頑張ってもらい、 全然やらないところや隠ぺいに走るようなところには、再考を促し続けていきたいと思います。

読者の皆様には2022年も引き続き、ご愛読いただけたら幸いです。

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image by: Shutterstock.com

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
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