後手になった日本政府の対応
軍隊としては感染情報を他国に知られたくない事情があるのだろうが、それなら外出を禁止するしかない。日本政府は、ただちに外出規制を求めるべきだった。キャンプ・ハンセンでの感染が広がってから正式に要求されるまでの間に県内で感染が広がった。政府対応が後手に回った結果、県内での過去最多の新規感染者数につながった。
今後も新規の変異株や感染症で同じ事が起こり得る。コロナ禍に限らず、米軍基地を抱える沖縄は常にパンデミック(世界的大流行)の危険を抱えている。今回の感染拡大もこれから徹底的に検証すべきだ。米軍の感染状況について感染経路や検査数等の情報がなく、実態が見えない。根本には日米地位協定の問題がある。しかし、米軍が情報を発信しないなら県や日本政府が積極的に情報を取りにいくべきだ。
もう一度2020年7月を振り返る。その時の沖縄でのアウトブレイクの際、感染経路不明者に対して全数ゲノム検査を実施していたならば、米国株感染者も当然みつかっていたであろう。その後の基地感染リーク対策に生かされていたはずだ。沖縄の人々には、米軍の検疫の科学的妥当性と倫理だけでなく、政府に付属する研究機関の科学的妥当性と倫理についても監視と検証を続ける必要がある。
最新の健康医学情報について総合診療医ドクター徳田安春先生がわかりやすく解説するメルマガの詳細・ご登録はコチラから
image by: EQRoy / shutterstock.com
ページ: 1 2