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Flag of Russia on military uniform and flag of the Ukraine at background. Russia VS Ukraine.

マスメディアが創ったウクライナ侵攻の「物語」に乗せられる世界の人々

連日メディアで報道されるロシアのウクライナ侵攻のニュースを見ていて、みなさんはどのような解釈をしているでしょうか。ロシアのプーチン大統領は狂人でロシア軍は悪の軍隊である、と思っている人が多いでしょう。メルマガ『富田隆のお気楽心理学』の著者で心理学者の富田隆さんは 、その偏向報道に「へそ曲がり」の立場からの意見を、ロシアとウクライナの間に起きた事実とともに語っています。

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金融の核爆弾

「コロナ禍騒ぎ」の先が見えて来たと思ったら、ウクライナで戦争が起きてしまいました。本当に、悩みの種は尽きませんね。

前回のお便りでも、ウクライナを巡るこれまでの「因縁話?!」については書きましたが、実際に進軍が始まり、戦端が開かれてしまうと、西側、特に日本の報道ぶりの酷さに愕然とする毎日です。

今更ながら、いわゆる「マスメディア」と呼ばれているものがディープステイト(世界を操る影の政府)のプロパガンダ機関であり走狗であることを思い知らされます。彼らの偏向報道ぶりは大変優れています。

ですから、私のようなへそ曲がりの年寄りでも、テレビのニュースばかり見ていると、ロシア軍が「悪の軍隊」であり、プーチン大統領は権力欲に憑りつかれた「狂人」であり、彼の領土拡大の野望がこの戦争を引き起こした、というような「物語」が頭の中に出来上がってしまいます。

もちろん、私だって戦争は大嫌いです。前回、書きましたように、戦争は軍の当事者だけではなく、その地域の無辜の民を巻き込み犠牲にします。

地下鉄に避難して身を寄せ合っているキエフ市民の映像は、私の頭の中で、東京大空襲で焼き殺された無辜(むこ)の民のイメージと重なってしまいます。

こんな戦争は、一日も早く終わらせなければならない。

それは、もっともなことなのですが、この「戦争を終わらせなければならない」という同じ思いが、ロシア軍の侵攻の背景にあるという事実も見逃すことはできません。

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2014年にクリミア半島の人々(9割がロシア系)が「独立」を宣言し、ロシアへの併合を望んだ背景には、クーデター(西側では「オレンジ革命」などという美名で誤魔化していますが実体は武力による政権転覆です)で成立した「民主的な」ウクライナ政府による迫害がありました。

さらに酷いことには、ロシア系住民が多く住む東部のドネツク州やルガンスク州では、ウクライナ軍やネオナチの傭兵がロシア人への虐殺を開始しました。彼らに武器や資金を提供したのは、CIAの下部機関や米国の金融資本家です。

ロシア人の住む家屋が砲撃され、焼け出された避難民はスナイパーにより容赦なく撃ち殺されたのです。こうした事態に、ロシア人の側も民兵を組織し、戦闘が始まりました。

混乱する戦闘状態を収拾するために、ロシアを含めた当事者が集まり、上記2州に一定の自治権を認め、戦闘行為を停止するという「ミンスク合意」が結ばれました。

しかし、その後も、ウクライナの「民主的政府」はネオナチの傭兵を野放しにし、彼らが親露派の住民を襲うことを黙認して来ました。

プーチン大統領を眼の敵にする欧米の金融資本家(ソ連崩壊後のロシアにハイエナのように群がり利権を欲しいままにしていたのをプーチンたちに追い出されてしまった)は、ネオナチ民兵に資金援助を続けていましたから、彼らの暗躍は止まらなかったのです。

そして、親ロシア派の民兵がそれに反撃すると、これを停戦違反だとして、今度はウクライナの正規軍が攻撃を加えるといった泥仕合が8年間続き、およそ1万5000人の命が奪われました。

最近、ウクライナ側は、トルコから最新型のドローン兵器を購入し、親露派自治区の住民の殺害を始めました。これは西側のニュースでも流れていました。こうしたことを誰も止められなかったのです。

つまり、戦争は今始まったことではないのです。ウクライナの東部では、ずっと戦争が続き、人が死んでいたのです。

ロシア軍やプーチン大統領の側にしてみれば、「こうした戦争状態を一日も早く終わらせたい」という思いが侵攻の動機になっています。彼らもまた主観的には「同胞を助けるための正義の戦い」を遂行しているわけです。

実際、今回もロシア軍は真っ先に東部地区に侵攻しました。欧米や日本のメディアは首都キエフを巡る攻防ばかりを報道していますが、東部地区に入ったロシア軍は、瞬く間にこの地域を制圧し、ウクライナ政府軍は短期間の戦闘の後に投降しています。この地域のロシア系住民は、拍手と花束でロシア兵を迎えたのです。

だからといって、目的が正しければ「手段」までもが正当化されるわけではありません。プーチン大統領は、今回の侵攻を「他に手段が無かった」からだと正当化していますが、果たしてそれが本当か否かは、今後の情勢の展開次第で決まると思います。

要は、この侵攻が泥沼化して、戦争が拡大し、犠牲者が増大して、場合によっては第三次世界大戦の引き金となるのか、それとも、ウクライナ政府との間で停戦合意が成立し、懸案の課題解決を外交交渉の場に移すのか、という問題です。

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ロシアの要求は、東部親露系住民の安全が保障され、ウクライナがNATOへの加盟を見送り、アメリカ製の核ミサイルも持ち込まず、軍事的な「緩衝地帯」となることです。

これを約束させるために、プーチンは低コストで即応的な「斬首作戦(敵の指導者を取り除く作戦)」を実行しませんでした。

彼らは、容易に「勝利」が得られる斬首作戦を選択せず、(彼らから見れば)傀儡政権のウクライナ政府を敢えて温存し、「交渉相手」としたのです。さらには、休戦交渉への出席を決断させるために、侵攻を一時停止し、準備の時間まで与えました。

しかし、コメディアン出身で人気取りは上手くても政治的センスに欠けるゼレンスキー大統領(ウクライナ)は、国民に銃を取り火炎瓶を用意して闘うようにと呼び掛ける始末で、停戦の提案に応える能力があるのかどうか・・・、事態は予断を許しません。

少なくとも、ゼレンスキーがグダグダやっている間に、破壊は進み、犠牲者は増える一方で、地下鉄に避難している市民も家に帰ることができません。そんな男を英雄扱いしているのがディープステイト側のマスメディアです。

こうした困難な状況であるにもかかわらず、当事者以外の大多数の人々は事態の行く末を「楽天的」に予測しているようです。

その「指標」となるもののひとつは「株式市況」です。確かに、ロシア軍のウクライナ侵攻が報じられた2月24日(木)には、世界の株価が急落しました。まだ戦争の成り行きがわからず、市場は恐慌状態に陥ったのです。

しかし、その後の戦況が分かるようになると、株価は反発しました。翌日の25日(金)、ニューヨークのダウ平均は前日比で2.51%上昇、834.92ポイント上昇しました。この傾向は日本でも同じで、日経平均も505.68ポイント上昇したのです。

株価には、人々の集団心理が反映されます。この結果を見れば、市場は「楽観的」な観測を選んでいることが分かります。

要するに、多くの人々が「今は大変な状態だけれど、遠からず、落ち着くべきところに落ち着くだろう」「これ以上、大したことには成らないだろう」と考えているのです。それが世界の株式市況に反映し、株価の上昇となって表れたのです。

ひとまず、第三次世界大戦の可能性は遠退いたようです。

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ところが、ここでとんでもないニュースが浮上してきました。それは、英米欧州が、ロシアへの制裁措置として、ロシアを「スイフト(SWIFT:国際銀行間通信協会)」から排除すると決定したことです。

「スイフト」から排除されると、ロシアの企業は他国の企業と取り引きをする際に、ドル建ての送金や決済ができなくなるのです。

制裁は当面一部のロシアの銀行に限られるようですが、日本をはじめとする世界中の企業が、その銀行を使っているロシアの企業との間で商売や取り引きができなくなります。更に制裁の範囲が他の銀行にも拡がれば、ロシアは世界の金融システムから閉め出されてしまいます。

これはロシアの側への制裁となるばかりでなく、ロシアと取り引きしている世界中の企業に対しても大きな損害をもたらします。ですから、スイフトからの排除は「金融の核爆弾」と言われてきました。

抜け目のないプーチン大統領は、この「核爆弾投下」に供えて、中国の習近平国家主席との間で、天然ガス取り引きの約束を取り付けています。

それは、北京オリンピックに出席した時の二人の会談で決まりました。欧州諸国に売れなくなった天然ガスを中国に買ってもらうというわけです。ロシアと中国の間では、スイフトを通さず、人民元やルーブルで決済することができます。

ところが、欧州の各国、特に天然ガスの40%をロシアに依存しているドイツは困ってしまいます。

原発を全て止めてしまい、「脱炭素」の掛け声に乗って石油からの脱却まで本気でやって来たドイツは、頼みの綱の天然ガスを失うことで、エネルギー危機に追い込まれます。

エネルギーコストが急増するだけでなく、絶対量が不足して停電が起きるでしょう。もちろん、暖房もストップしてしまいます。

ですからドイツは、「スイフトからの排除だけはやめてくれ」とバイデンに頼みました。しかし、結果はとんでもないことになりました。

そんなわけで、評論家の中には、米英、というよりはロスチャイルドやロックフェラーたちの狙いは、プーチンの排除だけではなく、もうひとつ、「ドイツ潰し」もあったのではないか、とまで言う人もいます。

彼ら金融資本家たちがそうした「陰謀」の証拠を残すはずもありませんが、結果として、そして現実問題として、ドイツの国民が厳寒の北ヨーロッパで凍えることになるのは確かなことです。

犠牲者も出るでしょう。それは、EU全体の経済危機や社会不安に発展します。もしかすると、第三次世界大戦の導火線はこのあたりあったのかもしれません。

さすがは「金融の核爆弾」です。

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この「スイフト制裁」のニュースが世界を駆け巡った後の株式市況はどうなるでしょう?せっかく反発した日経平均やニューヨークダウが、再び大暴落しなければ良いのですが。こうして不況とインフレが世界の経済を混乱に陥れれば、ますます第三次世界大戦は現実味を帯びてきます。

プーチンやロシアを悪役に仕立て、彼らの暴虐ぶりを繰り返し報道し、悪夢のような「物語」を人々に植え付け、彼らへの敵意を蔓延させることは、こうした「破滅への道」に追い込むための「地ならし」なのです。

恐怖や憎悪に駆られた大衆は、判断力を失い、後先も考えずに「制裁」や「報復」の発動を要求します。
それがどんな結果につながるかを考えもせずに。

貴方はお分かりのことと思いますが、私はプーチン大統領やロシアの味方をしているのではありません。
私も独裁者は嫌いです。

ただ、民主主義が「衆愚政治」に陥る時、そこでは「自由」も「正義」も「美意識」も生きて行くことができなくなります。

プロパガンダ機関と化したマスメディアの洗脳と扇動に乗せられて主権者である国民が右往左往し、結局は、官僚組織が準備した同意書に訳も分からずメクラ判を押してしまうような状況は「衆愚政治」以外の何ものでもありません。

現に、治験すらも済んでいない得体の知れない薬物、それも多くの学者や専門家が危険性を訴えている薬物を、国民の8割が進んで接種するなどという状況は、まさに「衆愚政治」が生み出した「集団催眠状態」と言えるのではないでしょうか。

そして、そうした衆愚政治の裏では、可愛げのない悪人共が冷酷な陰謀を巡らしていると、相場は決まっているのです。

独裁者は嫌いだなどと言いながら、もっと悪賢い「影の支配者」たちにまんまと操られてしまったのでは間抜けも良いところ、バカ丸出しではないでしょうか。

そうした状況から一歩引いて、冷静に現状を見据えるためには、長い時間軸の上で、幾つもの異なる見解を擦り合わせる必要があります。

そのために、メジャーなマスメディアが提供してくれない情報に敢えて接触しているというわけです。

少しでも真実に近づくためには、「へそ曲がり」も必要なのです。

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image by: Shutterstock.com

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