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フリーランスは憧れの的?会社勤めのメリットと知られざるフリーの実態

多くの読者からの相談にさまざまな視点で回答しているメルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』の著者でiU情報経営イノベーション専門職大学教授を務める久米信行さん。今回のお悩みは、何かにチャレンジしたいと思ってもシミュレーションしすぎて行動に移せない、というご相談でした。久米さんからの回答とはどんなものだったのでしょうか?

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オトナの放課後相談室:シミュレーションしすぎて行動に移せない

Question

何かにつけて行動に移すのが苦手です。

チャレンジしてみたいと思ったことでも、うまく行かなかった時のことを想像すると、「今のままでいいかな」という結論に達して、現状維持を選びがちです。

例えば洋服の買い物なら、もっと安いもの、良いものがあるかもと逡巡して、結局、いつもと代わり映えのしないものに落ち着きます。

まして転職みたいな人生の大イベントとなると、あれこれと転職失敗のマイナスイメージが膨らんで、結局、新卒で入った会社に20年居続けています。

昔からピンチにならないと決断&行動できない性分なのは、自覚しているのですが、どうしても変化に伴う大失敗を想像して、平時での決断&行動ができません。

ちなみに、かねてからフリーライターに憧れていて、ライティング教室に通ったり、本はなるべくたくさん読むようにしています。密かにいつかは、会社をやめてフリーライターになりたいと思っています。

こんな性格では、到底フリーランスみたいな、即断即決を迫られる仕事は難しそうですし、チャンスもつかめないと思い、現在の営業職を淡々とこなしています。
こんな臆病な私が、ほんの少しでも決断&行動ができるようになるヒントがあれば、教えて頂ければ幸いです。(東京都/33歳/男性)

久米さんからの回答

転職までしなくとも、フリーでフリーな作家になって知的冒険を!

まず申し上げたいのは、 新卒で入った20年も働き続けるのは素晴らしい ということです。私の教え子たちを見ても 「3日3か月3年の壁=習慣化するための必要期間の節目」 を超えられずに、 3年未満で辞めてしまう人 が少なくありません。

自分探しをするために転職 をすると聞くと、 なんだかカッコよく見えます が、実際には 面白さがわかる前に辞めている場合がほとんど です。 3年でスタートラインにたち、10年でようやく独り立ち、20年で一流に近づくというのが「プロフェッショナルの経験則」 だとしたら、 そのラインに乗れなかった ということでしょう。

ご本人は 淡々とやっていると謙遜 されていますが、 淡々と続けることで「いつしか良い仕事ができる」ようになり、淡々とやっているのに「いつでも良い仕事ができる」ようになるのがプロフェッショナルの世界。 ましてや 営業は、私見ではAIで取って代わることが難しい仕事 です。 顔や言葉だけでは判断できない真意を感じ取る対人感受性センサーと、それに応じて臨機応変に対話するインタラクティブな知性 は、相当複雑で難しい仕事なのです。

もしも、 今の会社が、そこそこ快適に感じられ、今や仕事が呼吸するように自然で楽、時に苦しくも総じて楽しく感じられる なら、 あえて転職する必要もない のです。

私は、 創業期ベンチャー→大手証券会社を経て、家業に 戻りましたが、 結局、どの環境も、良いところと悪いところがありました。 いつでも 「隣の芝生は青く見える」 ものなのです。それに気づいたからこそ、 不満も山ほどありましたが、家業の経営を20年以上続ける ことができたのでしょう。

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続いて申し上げたいのは、 憧れているというお仕事、フリーライターの実態 です。私がこれまでお会いしてきた フリーライターは、フリーランスではあっても、経済的にも精神的にもフリーでない方が少なくありません でした。

私はこれまで数えきれないほど 雑誌等の取材 を受けてきました。その際、 出版社の編集者や記者とフリーライターが同行するケース も少なくありませんでした。実際には、 テープ起こししながら、フリーライターがインタビュー記事などをまとめる場合が多い のです。言わば、 雑誌編集者や記者のゴーストライター ですね。

しかし、 私も物書きの端くれ なので、 取材を兼ねて?フリーライターの方とも名刺交換し、逆質問をさせていただく のです。

「どんなことを書きたいのですか?」
「どんなことを書いてきましたか?」

どちらも、 ごく当たり前の質問です。きっと、 うれしそうに即答してくれる だろうと思っていたのですが、実はこれが 「意地悪な質問」 に感じられるようで、 顔色が変わります。

なぜなら、 フリーライターとして食べていくためには、仕事を選んでいる場合ではなく、どんな仕事も、時にはやりたくない仕事も引き受けなくてはならない ようなのです。 食べていくため、そんな頼まれ仕事に忙殺されているうちに、本当に書きたいことを忘れてしまう人 も少なくありません。ましてや、 自分が書きたいことをコツコツ書き溜めたり、発表する人と会うことは、ほとんどありません。

さらに驚くのは、 ブログであれnoteであれ、インターネットで自分の原稿を無料で発表し、不特定多数に読んでもらえるチャンスがあるのに、こうしたサービスやSNSを活用していない人が多い ことです。 原稿を書くこと=お金をもらうこと と考えてしまうようで、 私のようにほとんど無料か安価で発表し、情報を垂れ流し することなど信じられないようです。

なぜ、私が、経済的にフリー=お金に無頓着=で、書くテーマはフリー=書きたい事を書きたいように書ける=か というと、 お金を稼ぐ本業が別にあったから(今もあるから) です。もし、私が書くことで食べて行こうと思ったら、クライアントや読者の顔色を見ながら、時には書きたくもないことを書かなければならないでしょう。

また、 私は物書きになるために、トレーニングを受けたわけでも、自分を売り込む営業をしたわけでもありません。

ただ書きたいことを、SNSなどインターネットを通じて書き続けていた結果 、いつしか メルマガやブログの連載依頼 が舞い込み、それが 新聞や雑誌の連載 につながり、 本の出版にも結実 したわけです。

幸いにして、 ベストセラーになった本 もありますし、 著名なメディアで連載 もさせていただいてきました。しかし、 物書きの仕事 は、 仕事がある時ない時、売れる時と売れない時の波が激しい 上、 みなさんが思っている以上に収入は少ない ので、とてもではないけれど、 フリーライターを食べていくためのライスワークにはできません。

しかし、 お金を気にせず、書きたいことを書かせていただいている今の私の状況は大変心地よく、私のライフワーク だと考えております。それもこれも、 本業のライスワークが別にあるから でしょう。

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最後にお勧めしたいのは、このメルマガの連載で私も初めて夢中にっている、 「AIのべりすと」を使って、文章を書いてみる ことです。また、 毎日のように気づいたこと、感じたことをSNSで発信 することです。

結局、 フリーライター講座に通ったところで、そこで習うセオリーや先生を超えることはできません し、逆に ご自身の個性を殺されてしまう かもしれません。

しかし、 「AIのべりすと」と対話しながら競作すると、自分自身の発想を良い意味で裏切られつつ拡張できる のです。ちょうど 将棋の藤井聡太さんが、AIと将棋を打つうちに、他の名人が考え付かないような手を打てるようになった ように。つまり、 自分の固定観念からもフリーになれる、真のフリーライター になれるのです。

ちょうど、 第1回AIのべりすと文学賞の募集が始まり、6月30日締め切り ですから、 今から書き始めて、ご応募 されてはいかがでしょう。

自由自在な創作の世界で、知的冒険に旅立つ なら、 失敗を想定したシミュレーションで行動不能に陥る心配もない でしょう。私が敬愛するSF作家 筒井康隆さん は、かつて 「作品で狂気を書いているので、実生活は普通」 だとおっしゃっていたと記憶しております。 奇抜なファッションや行動をするより、創作物が独創的な方が、なんだかカッコイイ と思いませんか?

同時に、 SNSで毎日文章修行 をしましょう。私も、 本業の傍らで、毎日発見したことや感動したことを、メルマガ・ブログ・SNSで最低1記事ずつ発信する のを、ただただ2 0年も続けているうちに、自分のスタイルができた のです。

アウトプットをする習慣が身に付くと、日常見過ごしていた面白いものごとが次々に見つかり、自然にインプットもできる ようになります。このメルマガも日経産業新聞の連載コラムも、 ほぼ日常生活で発見したことがもとになって います。ひょっとしたら、 今当たり前に思っている営業の仕事が、ネタの宝庫 かもしれませんよ。

ぜひとも、これを機会に、 本業と二足のわらじで、AIとSNSを活用した「フリーでフリーな作家」を目指して みてください。よろしければ、 腕試しで、このメルマガにも投稿してくださいね。

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image by: Shutterstock.com

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1963年東京墨田区出身。87年慶応大経済卒。イマジニア新卒一期で飛込営業と株式投資ゲーム開発。88年日興證券でAI相続診断システム開発研修統括。91年家業の国産Tシャツメーカー久米繊維工業入社。94年三代目社長就任(現相談役)。97年日経インターネットアワード、05年経産省IT経営百選、09年東商勇気ある経営大賞等受賞。10年APEC中小企業サミット日本代表。20年開学の新大学iUでは起業家教育・地域創生担当教授。明治大、多摩大の授業や企業団体研修に即した25万部超の「すぐやる技術」シリーズ等著書15冊。内外情勢調査会等で毎年数千人に講師。東京商工会議所墨田支部副会長、墨田区観光協会理事、墨田区文化振興財団 評議員として地元振興。新日本フィルハーモニー交響楽団・NBS日本舞台芸術振興会・日本吟剣詩舞振興会 各評議員として文化芸術振興。

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