餅の進化は終わらない~新たな「ゼロイチ」への挑戦
ただ餅とご飯だけを作り、躍進してきたサトウ食品。その狭い世界で革新的な商品、そして製造方法を生み出してきた。
例えば、餅一つ一つの個包装。1983年にサトウが先駆け、業界に広がった技術だ。
「同業者が追いかけてきても丸6年できなかったんです。そのくらい難しい」(功)
さらに4代目の佐藤は餅を包むフィルムを進化させる。
「以前の個包装のフィルムより100倍以上よくなっています」(佐藤)
フィルムに酸素を吸い取る機能を持たせ、餅の賞味期限をかつての倍、2年に伸ばした。
こうした革新的な商品作りのチャレンジは今も続いている。開発部のホープ、小野義宏が先輩の代から続けて10年がかりで取り組んでいるのは、電子レンジでチンするだけでつきたての食感になる餅だ。
「封を開けて電子レンジで温めれば、すぐにつきたての餅が再現できる商品を目指しています」(小野)
実はレンジと餅は相性が悪い。餅を温めようとする場合、中心部に食べ頃を合わせると「四角い餅は硬い部分が残るんです」(小野)。餅の形や水分量を変えることでなんとかならないかと、試行錯誤を続けているのだ。
「結構いいところまで来たような気がします。1~2年以内に出せればな、と」(小野)
※価格は放送時の金額です。
~村上龍の編集後記~
「うちが目指すのは家庭で炊いたような本物のご飯だ、やり直せ」先代は言った。添加物は味を変え、レトルト殺菌は独特の匂いがする。ふっくらとした炊き上がりを再現するため「1食分、ガスで直火する方法に」1食分ガスで直火?90年に米飯専用の工場を建設、日産8万食。VTRを見て「1食分ガスで直火」というのがわかったが、それは60メールもあるとんでもない規模の炊飯施設だった。米どころを支えてきた越後人でなければ、そんな炊飯施設は作れない。
<出演者略歴>
佐藤元(さとう・はじめ)1965年、新潟県生まれ。1987年、関東学園大学を卒業後、亀田製菓入社。1990年、サトウ食品入社。2010年、社長就任。
(2022年1月13日にテレビ東京系列で放送した「カンブリア宮殿」を基に構成)