――172議席の民主党はいわゆる“立法暴走”をしてきた
「双方とも今回の選挙について謙虚に省察すれば分かるだろう。現在は両方とも『過多代表』状態だ。2年前の選挙で180議席を獲得した民主党だが、今回の大統領選挙は半分も取れなかった。国民の力は半分足らずの得票で当選したものの、大統領という膨大な権力を得ることになった。両方とも泡立っている(バブル状態)。双方が縮小志向的に見てこそ、問題を解決することができる」
――交渉と取引をしなければならないということか
「米国では“ディール”という言葉をよく使うが、われわれは儒教的基盤のためか、ディール(取引)をしたくても言わない。相手の信念や利害関係を説得・屈服させることはできない。信念・体系・人生観をどう屈服させ譲歩しろと言えるのか。お互いに“ディール”するんだ。出すものは出して、もらうものはもらって。オール・オア・ナッシングは健康な戦いではない」
――現実的に172議席が武器になりそうだが
「172議席の巨大野党(民主党)がこうしたリーダーシップを見せてはどうか。民主党でなければ法案通過ができないと脅かすのではなく、積極的に協力するから持って来いと言うのだ。尹次期大統領が政府組織法を示せば、それをいっしょに『素焼き』し、民主党が尹錫悦政府の政府組織法を提出するのだ。タックルをかけ、キズをつけ、暴言を吐くのではなく、『ポジティブ』にこれまでの野党と違う姿を見せてほしい。そうすれば国民も民主党を見直すだろう」
「172議席という巨大野党としての『度量の大きいリーダーシップ』を見せなければならない。陽気に、太っ腹に、快刀乱麻のように、相手が口を大きく開けるようにしなければならない。足を引っ張り、キズをつけることをこれまで何度してきたか。自分はすっきりしていると思っているが実は自分の心も病んで暗くて陰湿になるのだ。そんな政党に良い気運が来るはずもない」
――李在明氏のこれからの役割は
「大統領選挙という厳しい過程を経たのだから、当分は自重して余裕を持って眺める時間を持つのがいいのではないか。『足りないのは私だった」と言った最近の姿勢はとてもよかったと思う。そうした姿勢を堅持することが、国民の信頼と好感を継承する方法だ。少し休んだほうがいい」
――選挙制改編など政治改革論議は続けられるか
「与野党いずれも半分を獲得できなかった今がチャンスだと思う。大きく5つを変えなければならない。分権型大統領制で大統領権限を大幅に減らさなければならない。連動型比例代表制であれ中大選挙区制であれ選挙制度を改編して国会法を改正し、交渉団体の基準を現在の20席から10席や5席に下げなければならない。2030世代の参加を高めるためには、政党法上、政党構成の進入障壁を下げなければならない。国の補助金も議席数別に配分するのではなく、少数党や新生政党にもっと多く行くようにしなければならない」
――尹次期大統領と国民の力に同意するか
「尹次期大統領が本当に韓国政治の発展に寄与したければ、政治改革を推進力を持って引っ張っていかなければならない。帝王的大統領制を廃止して分権型に変え、議会に相当な権限を移譲する改憲を推進しなければならない。民主党も公約したため、尹次期大統領さえ決心すれば十分に成果を出せるはずだ」
李相珉さんはときどきテレビにもコメンテーターとして出てきていろんな意見を言うが、彼の言うことは普通の民主党の連中とはいつも色合いがちがっている。民主党寄りのコメンテーターがテレビに出てきて言うのを聞いていると、反吐が出そうになって最後まで聞いてられないことが多いのだが、この李相珉さんだけは反吐が出そうにならない。きょうの内容も「正論」である。民主党にもこういう人間がいるのだから、韓国政治もまだまだお手上げ状態ではないと思う。
(無料メルマガ『キムチパワー』2022年3月15日号)
image by: 李相珉 - Home | Facebook









