プーチンが側近を暗殺計画。大富豪アブラモビッチ氏が停戦交渉後に中毒症状、殺すだけが狙いじゃない「毒を盛る」意味とは

2022.03.29
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by たいらひとし
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もはやプーチン大統領の暴走はブレーキを失ってしまったのかもしれない。3月上旬にロシアとウクライナの非公式の停戦交渉に参加した3人が、化学兵器による中毒に似た症状を発症したと時事通信が報じた。被害者の中にはプーチン大統領に近いとされる実業家のロマン・アブラモビッチ氏の名前もあったという。オリガルヒ(新興財閥)の命すら狙った暗殺計画が判明したことで、「プーチン政権の内部で不穏な動きがあるのでは」との見方が出始めている。

オリガルヒに暗殺計画?戦争続行の意思表示か

サッカーのイングランド・プレミアリーグの強豪チェルシーの名物オーナーとして知られるアブラモビッチ氏。英国やEUの制裁対象となっているが、ウクライナ側の要請により、停戦交渉の仲介役を務めているとされる。

3月3日、ウクライナ領内において非公式協議が開かれ、アブラモビッチ氏は別のロシア人実業家、ウクライナ側代表団のウメロフ最高会議議員と共に参加した。

終了後、首都キエフのアパートに戻った深夜、3人は目や皮膚や目の炎症や刺すような目の痛みを訴え、症状は翌朝まで続いたという。英調査報道機関ベリングキャットによると、専門家の調査では科学兵器による毒物の可能性が高いと結論づけられたとした。

アブラモビッチ氏がイングランドのサッカークラブ・チェルシーを買収した当時は、プーチン政権側からオルガルヒの資産の国外流出を招くと警戒されていた。しかし、その後はプーチン大統領とは良好な関係を築き、チュクチ自治管区知事やチュクチ自治管区議会議長を歴任している。

3人の症状は回復していて命に別条はないというが、ロシアの強硬派によって毒が盛られた可能性が指摘されている。停戦交渉団を狙ったということは、あくまでも停戦する気はなく、これからも戦争を続けるというプーチン大統領の意思表示なのかもしれない。

プーチンとオリガルヒとの絆が崩壊

オルガルヒとは旧ソ連時代から資本主義化される過程に形成された新興財閥で、長らくプーチン氏の「金ヅル」と呼ばれて、独裁を支えてきた。

だがロシアのウクライナ侵攻による西側諸国の経済制裁の標的にされている。

イタリアやフランスではオルガルヒのスーパーヨットが押収されており、アブラモビッチ氏の所有するヨットは制裁に参加していないトルコの港に逃れた。

長年秘密主義で知られたスイスの銀行でさえ情報公開に踏み切り、ロシアの富裕層の資産の総額を1500億~2000億スイスフラン(約19兆2000億~25兆6000億円)に上ると概算を発表し、プライベートバンクも個人への融資実績も公表した。

仮想通貨を使って資産を移すために、オルガルヒはアラブ首長国連邦(UAE)へ駈け込んでいるという。

西側全体のオルガルヒ制裁の動きに耐えられなくなったのか、ロシア大起業の代表が、相次いで侵攻に反対を表明。

アブラモビッチ氏もその一人で、ロシアとの和平交渉の橋渡し役になりえるとして、ゼレンスキーウクライナ大統領がバイデンアメリカ大統領にアブラモビッチ氏の制裁見合わせを要請したと、24日のウォールストリート・ジャーナルが報じている。

そんな中、判明した今回の暗殺計画。

欧米の一部メディアでは、分析の結果、使用された化学物質は致死量には不十分だったことから、これはあくまでも警告で、今回は脅しだったと報じる声もある。

自分に逆らう者はいかなる人物であろうとも排除しようとするプーチン。既に閣僚や軍部内でも消息が不明の人物もいることから、今後はさらに恐ろしい暗殺報道が増えていくかもしれない。

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