ウィル・スミスに陰湿な“いじめ”被害。グラミー賞でビンタ事件をネタに笑いもの、米エンタメ業界が抱える深い闇

2022.04.05
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by たいらひとし
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世界中で物議をかもしたアカデミー賞授賞式の壇上での平手打ち事件。日本ではウィル・スミス(53)を擁護する意見が多かったが、本国アメリカでは叩かれまくっている。そんな中、3日に行われたグラミー賞の授賞式ではウィル・スミスのビンタ騒動を“イジる”出席者が続出。今度はウィル・スミスが“いじめ”に遭っているかのような被害を受けている。

今度はグラミー賞でウィル・スミスをネタに笑う胸糞

3月28日に行われた第94回アカデミー賞の授賞式で、妻に投げかけられた侮辱的発言に激怒し、コメディアンのクリス・ロック(57)にビンタをくらわせたウィル・スミス。米映画界のみならず世界中に波紋を広げたが、今やジョークの格好のネタになってしまっているようだ。

4月3日に行われた第64回グラミー賞授賞式の壇上では早速ビンタ騒動事件をネタにしたジョークが飛び出した。

司会を務めたコメディアンのトレヴァー・ノア(38)はオープニングの挨拶で「これを授賞式だと思わないでください。これは賞を授与するコンサートです。音楽を聴き、踊り、歌い、人の名前を口にしないようにします」と語り、暗にロックがスミスの妻の名前を口に出したことを皮肉った。

また米俳優レバー・バートンが「次のプレゼンターはコメディアンです。分かりますよね」と前振りをすると、プレゼンターのコメディアンのネイト・バルガツェは黒いヘルメットをかぶってあらわれ、「今、コメディアンは授賞式でジョークを言う場合はこれをかぶるのが義務なんです」と語り、ビンタ防止のためにヘルメットをかぶっていると、スミスを小バカにするような行動を取った。

もっとも印象的だったプレゼンターはミュージシャンのクエストラブだ。

初監督作品「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放送されなかった時)」が長編ドキュメンタリー賞を受賞し、クエストラブと共に3人の製作スタッフが上がったとき、司会のロックは「4人の白人」と呼んだ。
白人扱いされたインド系のジョセフ・パテルは、南アジア人としての誇りを傷つけられ、Twitterでロックに対しての怒りをぶちまけている。
第94回アカデミー賞でロックの発言に憤ったのは一人ではなかったのだ。

クエストラブは最優秀楽曲賞を発表する前に「皆さんが私から500フィート(約152メートル)離れていると信じています」とビンタディスタンスを保つように会場に呼びかけた。

ビンタした側もされた側も抱えていた心の闇

実は今回のビンタ騒動は警察まで動きだしており、事件当日ロサンゼルス市警は暴行罪でスミスの逮捕準備を進めていた。

ABCテレビが行った授賞式プロデューサーのインタビューによると、ロックの元へきた警察官は「スミスをすぐに拘束して逮捕する準備ができており、あなたは告訴できる」と発言。しかし、ロックが告訴をかたくなに拒否したため、スミス逮捕にはいたらなかったようだ。

なぜ、ロックはスミスの逮捕に断固として拒否したのか?

実はロックは「非言語性学習障害(NVLD)」だったことが明らかになっており、全米では改めてロックの病気に注目が集まっているという。

非言語性学習障害とは、視覚での情報が読み取れない障害で、場の空気が読んだ言動ができず、意図的でなく相手を傷つける言動をとってしまうとされている。

ロック自身も過去のインタビューで、相手の怒りを買い、冷たい態度をとられたと告白。そうしたことから、「ジョークとはいえ、スミスに言い過ぎてしまった」という後悔の念がロックにあるのかもしれない。

空気を読まない、いや読めないところがコメディでは武器になったが、ハレある賞の舞台では諸馬の剣となってしまったようだ。

一方、スミスの方も自伝「ウィル」や過去のインタビューで「面前DV」だと告白している。

スミスの父は子供の目の前で妻への暴力や暴言を繰り返しており、スミスは父に憤りながらも母に対して何もできなかったことをずっと罪悪感をもっていたいう。

面前DVは最近になって取り沙汰されるようになった用語だが「心の虐待」と呼ばれて、自分自身が直接暴力を受けるよりも児童の心と脳に甚大な被害をもたらすと言われている。

ビンタ騒動の裏には二大スターの重い“障害”が隠されていたようだ。

とはいえ、理由がなんであれスミスの暴力は許されない。しかし、それをジョークのネタにして、火に油を注ぐような“いじめ行為”をすることももってのほかだ。何でも「ジョークだ」の言葉で片づけようとする、米エンタメ界の深い闇を感じざるを得ない。

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