韓国ソウルの真実。北からの核攻撃に「逃げ場なし」という悲惨な実態

 

ロシア侵攻が始まった今年2月24日(現地時間)以降、ウクライナの首都キーウがそうだった。都市を離れられなかったウクライナ人たちは爆撃を避けて地下に隠れた。建物の地下や地下鉄の駅舎がぎっしり詰まっている。多くの民間人が現在も地下にとどまり、不安に震えている。韓半島での戦争憂慮は常に現在進行形だ。北朝鮮は長距離射程砲と大陸間弾道ミサイル(ICBM)挑発を続けている。最近は「軍事的破壊力をソウルの主要標的と南朝鮮軍を壊滅させることに総集中する」という脅迫が、北朝鮮軍序列1位の人物(金与正)の口から出てきた。

米議会調査局(CRS)は17年の報告書で、北朝鮮がソウルに向かって1分間に1万発あまりの砲撃を加えることができると評価した。紛争発生初期、死亡者は最大30万人余りに達するものと予想した。実際に戦争が起これば、韓半島全体で2,500万人が被害を受ける可能性があるとCRSは説明した。

ソウル中心の駅三(ヨクサム)駅は消火器と消火栓、スプリンクラーだけでなく、火災の時に使える緊急避難マスク200個あまりを備蓄していた。しかし、防毒マスクは職員用の6つしかない。それさえも一部はすでに包装を開けて使用したり、使用期限が過ぎた状態だ。換気システムはあっても外部と隔離させるドアはなく、外の空気を完全に遮断することも難しそうだ。駅関係者は「連携した軍部隊から出動して助けるまで職員ができるのは避難など臨時措置だけ」と話す。

避難所数は人口密度に比例しない。居住人口基準で鐘路区は避難所1か所当たり平均1,104人を収容すればよいが、人口対比施設数が最も少ない恩平区は4,743人ずつ収容しなければならない。ソウル研究院の分析結果、龍山住民20万4,262人のうち29.2%にあたる5万9,555人は空襲状況で7.5分(500メートル)歩いても避難所に到達できない。1.4%の2849人は、15分(1,000メートル)行っても避難所を見つけることができない。22.5分(1,500メートル)かかっても避難所に身を隠すことができない住民は1,296人(0.6%)と推定される。

現在、民間防衛避難所は1週間以上の長期滞在を考慮して作った施設でないことも問題だ。戦争が長期化すれば耐え続けることは難しい。ソウル研究院の申相永(シン・サンヨン)先任研究委員は、「民間防衛避難所のうち、政府支援施設は長く滞在できるがそれも延坪島砲撃事件が発生してから、国境地域にだけできた」と話した。

「それでも長期滞在できる被災者臨時住居施設も、長くて1週間未満の滞在状況を仮定したもの。ウクライナのように1か月以上戦争が続く場合、なすすべがない」と語る。北からの核攻撃があったら、事実上逃げ場がないということ。ミサイル発射の直前に先制攻撃をかけて発射台を壊滅するしか手はない。だから尹次期大統領の口から「北に不穏な動きが感知された場合、先制攻撃をかけるしかない」という発言が出るのもむべなるかな、である。(無料メルマガ『キムチパワー』2022年4月18日号)

image by: Shutterstock.com

キムチパワーこの著者の記事一覧

韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 キムチパワー 』

【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

print
いま読まれてます

  • 韓国ソウルの真実。北からの核攻撃に「逃げ場なし」という悲惨な実態
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け